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【研究成果】飢餓適応に必要な生理現象、「トーパー」の誘導・維持される機構を世界で初めて解明

本学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門の佐藤貴弘准教授児島将康教授らの研究グループは、本学医学部動物実験センター等との共同研究により、トーパー(*)が誘導・維持される機構を世界で初めて解明しました。研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開されました。

研究の概要

食物が欠乏すると、一部の哺乳類ではトーパー(鈍麻状態)と呼ばれる冬眠に似た状態に入り、体温を通常よりも低く維持して消費エネルギーを節約します。しかし、この飢餓適応がどのようなしくみで制御されているのかは不明でした。

研究グループでは、空腹時に分泌の高まるグレリンというホルモンに着目し、グレリンを作り出すことができないマウスを作出して解析を進めました。その結果、このマウスは体温のリズムに異常があり、食物が欠乏してもトーパーを誘導できないことがわかりました(図1)。また、この研究ではグレリンがトーパーを誘導・維持するための神経回路の特定にも成功しています(図2)。

研究の概要(図)

図を大きく表示する (PDFファイル)(604KB)

グレリンは空腹時に食欲を生み出すホルモンとして知られてきましたが、今回、食物が欠乏した時にトーパーを誘導・維持する役割を持つことが示されたことにより、グレリンが様々な戦略で体内のエネルギーを保持していることがわかりました。

将来展望

体内のエネルギーを調節する新しいしくみが明らかになったことから、糖尿病や肥満症の新たな治療戦略の創出に繋がることが期待されます。また、トーパーを人為的に制御できるようになれば、臓器保存などのような次世代型医療への展開も期待できます。

用語説明

(*)トーパー:食物の欠乏などの環境下で、動物が能動的に核心体温を低下させて生命を維持する生理現象。低体温症とは異なり、食物を摂取できる環境に戻ると体温は速やかに正常値に回復し、脳を含めて全身の臓器に障害を残さない特徴がある。

研究環境の特色

久留米大学には、研究機能が強化された「基礎3号館」があり、分子生命科学研究所や動物実験センターが入っています。本研究では、昼夜問わず体温を持続的に測定しながら分子から個体までの解析を進める必要があったことから、基礎3号館の機能を最大限に生かすことによりはじめて達成できた研究成果だと考えています。

詳細

【ジャーナル名】 Scientific Reports (オンライン版)
【発行日】
2021年9月13日午前10時(ロンドン時間)
【タイトル】 Thermoregulatory role of ghrelin in the induction of torpor under a restricted feeding condition
https://www.nature.com/articles/s41598-021-97440-y
【著者名】 Takahiro Sato, Kanae Oishi, Daisuke Koga, Takanori Ida, Yusuke Sakai, Kenji Kangawa, Masayasu Kojima (太字は本学在籍者)

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