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【研究者インタビュー】バイオ統計センター 角間 辰之 教授

バイオ統計センター 角間 辰之 教授

角間教授

所属部署について教えてください。

医療分野の統計学であるバイオ統計学の人材を育成するのが第一の仕事です。この分野の人材は欧米に比べて非常に少なく、遅れを取っています。そこで、文部科学省の人材育成プログラム(新興分野人材養成委託事業)の補助を受け、2003年に久留米大学に設立したのが「バイオ統計センター」の始まりです。Biostatisticsは生物統計学や医療統計学といわれますが、本学では、広く生物科学全般を対象に考えているので、その名称にして受け皿としてのセンターにしました。

バイオ統計センターHP:http://www.biostat-kurume-u.jp/

バイオ統計センター
 

どのようなことを行っているのですか?

基本的には、修士・博士課程の学生を対象にバイオ統計学についての専門的な教育をしています。世界では、研究論文に統計専門家のレビューが必ず入るのですが、日本には専門的にサポートする体制ができておらず、海外と対等に闘う土壌がありません。特に、ITの進歩に伴い、コンピューターで解析できるようになってきて、統計解析がより複雑化してきましたので、一層バイオ統計学は必要となります。

センターは、学内外の臨床研究の支援をしており、約7割が学内です。他大学では、科研費を取れそうなものなどが優先される傾向にあるようですが、本学ではやれる範囲でほぼ全て受け入れている状況です。2018年度(19年1月時点)に解析依頼を新規に受けたのは74件で、うち57件が学内です。若い研究者を対象に、夏には集中講義を実施したりして、研究の底上げに貢献しているという自負があります。国内で同じようなバイオ統計学の部署を設ける大学が出始めていますが、本学ほど支援体制が強いとはいえません。とはいえ、設立から10年たった頃、IT化に伴い、医療ビッグデータを取り扱うという新しい方向性を打ち出しました。本学でビッグデータを解析した研究論文が、さまざまな学会で発表されており高い評価を得ています。

 

実績1実績2

・2017年度からの引き継ぎ案件17件(うち、学外案件2件)

・2018今年度新規案件74件(うち、学外案件17件) 
 ※今年度新規案件は、2019年1月分までを計上

この道に進むことになったきっかけから、これまでの歩みを教えてください。

金沢大学の教育学部を卒業して、米国に23年間、留学しました。英語はあまり得意ではありませんでしたが、数字なら対等にやっていけると思いました。健康にも関心があったので、今で言うバイオ統計の分野に進みました。ワシントン州の大学から、ハワイ大学、そしてエール大学で学びました。コーネル大学に就職して10年間働いた後、50歳を前に、日本に帰国して2001年に日本赤十字九州国際看護大学(福岡県宗像市)に赴任しました。2005年に久留米大学に移り、今に至っています。

これまでの研究活動のなかで、特に大きな転機はありましたか?

学生の頃、エール大学で著名な数理の先生に「統計学は応用を見据えた学問であり、社会に役に立たないといけない」と教えられました。エール大学を卒業する時、バイオ統計学の学者になるつもりでしたが、ひょんなことからコーネル大学に就職して10年間おりました。精神科の治療をサポートする研究所を立ち上げることになりました。応用で生きてきた人間なので、実践では百戦錬磨でした。日本赤十字九州国際看護大学にいたとき、久留米大学の永田学長から「うちでバイオ統計の人材育成をやらないか」とお誘いを受けたのが、久留米大学で働くことになった転機です。

研究がすすまない時期、どうやって乗り越えましたか?

私たちは研究をサポートする立場なので、つまずくということはありません。ただ、常に最先端でなければなりませんので、研究者とのコミュニケーションが大切です。特に米国はコミュニケーションを大切にしています。ところが、日本に帰ってきて、コミュニケーションの取り方が米国と全く違い、文化のギャップを感じました。少しずつ、そのギャップはなくなりつつあります。

お仕事以外に大事にしているものはありますか?

家族です。なかなか時間がありませんが、旅行をしたりしています。息子が学生時代、京都にいた頃は、よく京都に行っていました。

現場から離れて気分転換や休日にどんなことをされていますか?

スポーツが大好きで、水泳をしています。犬の散歩も週末によくしています。


愛犬1 愛犬2

(左)愛犬Zack(14歳の誕生ケーキを前に) (右)散歩中の1枚

現場での活動をとおして、社会、人にどのようなことをもたらしたいと思いますか?

臨床に関わる先生の研究を支援して、その成果を社会に還元していくのが私たちの役目です。地味といえば地味ですが、支援体制の一部になっており、研究成果に果たす役割は大きなものがあります。そこでこれからも社会貢献をしていかなければならないと思っています。

研究者や医師を目指す方へメッセージをお願いします。

バイオ統計の研究者は、ニーズがありますが人が足りていません。優秀な人材は脚光を浴びますし注目されます。生物や数字が好きな人はぜひこの分野に入って、社会貢献してほしいと思います。

久留米大学が「地域の『次代』と『人』を創る研究拠点大学」を目指していることについて。

大賛成です。久留米大学は、小回りが利く地域密着の特性を生かしながら、一方で、世界を舞台に仕事をしていけばよいと思います。バイオ統計センターでも、医療における統計学の分野で「次代」を担う「人」創りに貢献していきます。

 


 

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略歴

1978年 金沢大学卒業
1985年 エール大学、公衆衛生学(バイオ統計学)修士修了
1990年 エール大学、博士課程修了
1990年 コーネル大学 准教授
2001年 日本赤十字九州国際看護大学教授
2005年 久留米大学バイオ統計センター教授