大学院 医学研究科医学研究科長メッセージ

メッセージ

大学院医学研究科 科長
免疫学講座 主任教授
溝口 充志

久留米大学は、1928(昭和3)年に、九州医学専門学校として設立され、現在では6学部13学科、4つの大学院研究科、2附属病院、20の研究所センターなどを擁する九州でも有数の総合大学へと成長しました。久留米大学大学院医学研究科は、1956年に医学研究科博士課程が、2001年には修士課程が開設され、今日まで優秀な医学研究者を多数輩出してきました。

本学の建学の精神である「国手の矜持(ほこり)は常に仁なり」にもとづき、当研究科は、地域医療に貢献し、医学・医療の分野で先駆的な学術研究の実践、幅広い学識と国際的視野を備え、卓越した能力、豊かな教養、人間性を備えた人材の育成を目指しています。また、一般学生のみならず既に社会人として活躍しておられる方が最新の医学知識・技術を学び、高度な医学研究能力、専門的職業人としての能力を身につけその成果を社会に還元できるように、2003年から昼夜開講制を導入しております。

博士課程には、所定の要件を満たせば最短3年間で学位を授与する早期修了の制度があります。また、奨学金制度に加えて、初期臨床研修医や私費外国人留学生に対する納入金減額制度や優れた学位論文に対しては学術奨励賞を授与するという制度もあります。

修士課程では、医科学専攻に含まれていた看護学群、分子生命科学群、バイオ統計学群については、2016年に看護学専攻を、2019年には総合生命科学・バイオ統計学専攻に移行して新たに開設しております。看護学専攻には、修士論文コースと専門職養成コースがあり、修士論文コースには、看護教育管理分野が設置されています。専門職養成コースには、がん看護分野、感染症看護分野、老年看護分野、小児看護分野が設置されています。これら分野は日本看護系大学協議会より専門看護師教育課程として認定を受けており、課程修了により日本看護協会が設けている専門看護師(CNS)認定試験の受験資格が取得できます。また、助産師資格コースも2016年から開設され、課程修了により助産師の国家試験の受験資格を得ることができます。また、総合生命科学・バイオ統計学専攻では、これからますます需要が高くなってくる、生命科学とバイオ統計学双方に長けた人材の育成を目指します。

修士課程でも、所定の要件を満たせば在学期間が最短1年間で学位を授与する早期修了の制度があります。また、奨学金制度や私費外国人留学生に対する納入金減額制度もあります。

大学院生間の交流を深めるため2017年に「院生会」が設立されており、院生会が主催する講演会をはじめ、大学院生が司会進行を務める研究発表会も毎年開催されています。また、院生会からの要望がホームページ上に掲載されることにより、透明性を持って早急に要望に対応できる制度が整えられています。

昨今の日本国内での医学研究の不正や研究費の不正使用等の不祥事により、法律や国のガイドラインも大きく変わっています。これらを踏まえ、法律やガイドラインを遵守し医学研究を盛り上げていけるようにコンプライアンス研修も強化されています。

国際交流や海外からの学生の受け入れにも積極的に取り組んでおり、英語版の入試要項も作成されているため海外からの受験も可能です。私自身も本学の大学院生時代に米国ハーバード大学医学部へ留学しており、研究の進捗状況に応じて海外留学も可能です。

本学は「令和2年度科学技術人材育成費補助事業 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特性対応型)」に採択され、「ダイバーシティ・インクルージョン委員会」も設立され精力的な活動が展開されています。ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特性対応型)は「特に女性研究者の活躍を促進し、上位職に積極的に登用される仕組みを作成すること」が目的です。よって、この目的達成のため、本研究科でも女性研究者育成のための環境整備に取り組んでいます。

2021年7月に開催された第3回医学研究科ワークショップでは、10年先の大学院のありかたを見据えて1) 臨床現場で働きながら学位取得を希望する医療従事者に、大学院における研究指導の機会を受けやすい環境を整備し、質が担保された博士号取得が可能な独自性のある「久留米大学モデル」の構築、2)臨床力向上に必須な「動的能力獲得」のため、先発優位性に富んだカリキュラム作成が提言されています。提言にもとづき、地域さらには世界に貢献できる人材の育成を促進するためのニューノーマルな大学院の構築を目指してまいります。

久留米市は福岡県南部の広大な筑後平野にあり、福岡県北部や隣接する県外からもアクセス良好な場所に位置します。60年の歴史に支えられた医学研究科は、博士課程、修士課程ともに優秀な教育スタッフと充実したカリキュラムを有しており、目的に応じてその中から各自に適したコースを選択することが可能です。先駆的研究に興味がある人、国内はもとより国際的にも医学・医療の各種分野で活躍を目指す人、高度な専門職業人を目指す人などを大いに歓迎いたします。