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プロジェクト

「がん征圧」に向けた戦略の推進

社会的背景(北部九州の地域性)

本学が立地する久留米市の大きな特徴に「医者の街」と言われるほど医療体制が充実していることがあります。政令市・中核市のうち人口当たりの医師数が多く(人口10万人あたり医師数が568.5人)、病院・診療所数も全国6位となっています(2012年調査)。

本学は、創設以来、こうした久留米市をはじめとした北部九州地域の医療福祉面での発展を長く支えてきました。医療福祉分野を中心とし、地元久留米市や福岡県といった地域社会に好影響を与えるような、学識と専門技術に関わる教育と研究が最大の強みであり、特色でもあります。

一方、北部九州地域においても、今後人口減少と高齢化の一層の進展が予想されています。特に、今や国民の2~3人に1人が罹患するがんに関しては、全国的に見ても北部九州は死亡率が高く、特に肝がんは突出しており、予後が極めて不良な状況です。今後の高齢化に伴い、がんの問題に地域がどう向き合うかが重要な課題となっています。

地域の特性

  • 北部九州はがんの罹患率・死亡率が高い
  • 人口減少と高齢化が進展している。高齢化に伴い、更なるがん患者の増加が見込まれる。
  • 「医者の街」久留米:人口当たりの医師数・医療機関数が多い
     

これまでの動き:「がん征圧」に向けた戦略の推進

本学病院は、その入院患者の約5割、外来患者の約2割ががん患者であり、地域がん診療連携拠点病院として北部九州におけるがん対策の中核を担っています。福岡県内のみならず近隣の北部九州各県や山口県、さらには日本全国及び東南アジア諸国からも受診者が訪れており、がん医療及び先進的がん治療研究に対する地域社会からの大きな期待を担い、地域との密接な連携により、がんの革新的治療法開発を推進してきました。

旭町キャンパス

本学は文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業(一般型(2003~05年度)・発展型(2006~08年度))」、「地域イノベーションクラスタープログラム(2009~13年度)」を通じ、テーラーメイドがん治療の中核研究機関として地域とともに歩んできました。福岡県は久留米市と連携してバイオ産業拠点推進事業「福岡バイオバレープロジェクト」を推進し、久留米市も地方創生戦略「久留米市キラリ創生総合戦略」において「がんワクチンなど次世代医薬品の研究開発支援」「がん治療拠点化の推進」を掲げるなど、バイオ産業の一大拠点化を久留米地域で進めており、本学と地域とのより強力な連携が求められています。

本学の代表的な研究組織である先端癌治療研究センター(私立大学ハイテクリサーチセンター整備事業)の1997年の設立をはじめとして、集学治療、緩和ケア、肝がん、肺がん、がんワクチンに特化した5つの診療センター、医療連携・情報共有を担当する腫瘍センター、大学院がんプロフェッショナル養成コース等を設置しました。また、研究全般を支援する体制として、全国の大学に先駆け、医学・医療分野の研究で不可欠な数理学的基盤と科学的方法論を提供するバイオ統計センターを2003年に設置し、質の高い臨床研究を支援するための臨床研究支援機構を2015年に設置するなど、本学は「がん征圧」に向け戦略的に取り組んできました。

本学の取り組み

  • 先端癌治療研究センター(私立大学ハイテクリサーチセンター整備事業)の設立(1997年)
  • 集学治療、緩和ケア、肝がん、肺がん、がんワクチンに特化した5つの診療センターを設置(腫瘍センター、大学院がんプロフェッショナル養成コース等)
  • バイオ統計センターを設置(2003年)
  • 文部科学省「都市エリア産学官連携促進事業(一般型:2003~05年度)
  • 文部科学省「都市エリア産学官連携促進事業(発展型:2006~08年度)
  • 地域イノベーションクラスタープログラム(2009~13年度)
  • 臨床研究支援機構を設置(2015年)

福岡県や久留米市の取り組み

(福岡県、久留米市)
  • バイオ産業拠点推進事業「福岡県バイオバレープロジェクト」
(久留米市)
  • 地方創生戦略「久留米市 キラリ創生総合戦略」
  • がんワクチンなど次世代医療品の研究開発支援
  • がん治療拠点化の推進

 

今後の動き:「個別・包摂的ケアを主導する拠点へ」

このような現状を踏まえつつ、「地域文化に光を与え、その輝きを世界に伝え、人類の平和に貢献することを使命とする」本学が、地域の安心・安全、そして教育研究の質に関するステークホルダーや社会の高い期待に応えていくため、新たながん治療・予防法の開発を加速化させることを本事業の目的としています。

特に、本学がビジョンでうたう「地域に根ざした研究を通じた地域への貢献」と「地域に根ざした医療」を学内で先行して実践する拠点、また、「実際のがん医療、がん患者に役立つこと」を突き詰め、テーラーメイド(個別最適化)かつ包摂的なケアを全学で進めていく際の拠点の形成を目指します。

具体的には、先端癌治療研究センターを中心に、

  • 現在の強みであるテーラーメイドながん治療の確立に向け、テーラーメイドがんペプチドワクチン等の実用化推進と改良・次世代化を進めます。
  • がんの新規診断法や治療法につながるような本学内の研究シーズの発掘と応用展開を進め、学内の資源・人材を戦略的に活用しながら、さまざまな課題解決に総がかりで取り組みます。

本事業では、前述の「福岡バイオバレープロジェクト」「久留米市キラリ創生総合戦略」に基づき、地域と緊密に連携し、バックキャスト型の課題解決を強化します。

また、本学が有する課題解決力を最大化し、それらを総動員した上で、「すこやかな『次代』と『人』を創る大学」というブランドの形成を図ります。

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目指す成果として

成果1:現在の強みであるテーラーメイドがん治療の確立

先端癌治療研究センターでは、設立当初よりがんペプチドワクチンの開発研究や肝炎・肝がんの発症・進展機序解明と新規治療法の開発・実用化展開研究を実施し、多くの実績を挙げてきました。がんペプチドワクチンについては、世界に先駆けてテーラーメイド(個別最適化)ペプチドワクチンを開発し、国内初の臨床試験や厚生労働省の先進医療認定等を実現してきています。また、進行肝がんに対し、奏効率70%という極めて高い臨床効果を有するNew FP療法(5-FUとプラチナ併用動注化学療法)を開発しました。
本学が独自に開発したテーラーメイドがんペプチドワクチン療法では、患者の生存期間延長効果が確認され、一部のがんに対しては医薬品承認の最終段階である第3相治験の終盤に至っています。しかしながら、多くのがん種に対し適応拡大し、高い治療効果を発揮・普及させるためにはさらなるワクチンの改良が求められています。また、New FP療法に対しても治療抵抗性を示す症例があり、対策が必要です。

そこで、本事業では個々の患者のがん細胞の遺伝子変異に対応することで、高い臨床効果を目指す次世代テーラーメイドがんワクチン、及び個々の患者の治療抵抗性機序に対応するテーラーメイドNew FP療法を開発し、将来の薬事承認も見据えた新たなテーラーメイドがん治療への展開を推進します。

成果2:がん治療に関する新たな強みの創出

がんをテーマとする多彩な研究が学内で行われており、がんの新規診断法や治療法につながる可能性のある潜在的研究シーズが多数存在しています。本事業では、それらのシーズを発掘しつつ、がんの早期発見・診断や治療法開発、さらには予防法へと応用展開が図られるよう、研究の方向付けや出口戦略に向けたアドバイスや専門家紹介等といった研究マネジメントをトップダウンで行い、新規診断法や治療法、予防法の開発を加速させます。
予備的調査によれば、国内最大規模の血液腫瘍バンク保有を背景に進められている血液腫瘍やリンパ腫に関する研究や、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)や肝炎などの炎症性疾患からの発がん機構に関する研究が有力シーズとして挙げられており、患者血清を用いるDNA診断法や発がん予防法の開発へと結びつくことが期待されています。

成果3:高度医療研究を担える医療人材のたゆまぬ供給

進行肝がんに対し、本学で独自開発したNew FP療法の奏効率は70%(標準治療薬ソラフェニブだとわずか2%)で、全生存期間の中央値も25.6カ月(同10.7カ月)と極めて高い治療成績を有しています。しかしながら、治療に当たる医師とコメディカルには熟練した技術が求められ、普及するには至っていません。
そこで、本事業において治療法の汎用化のための改良・簡素化を進めつつ、全国の若手医師やコメディカル対象の研究会・技術講習会を久留米で開催することで、New FP療法に習熟した医師やコメディカル等の高度医療人材を育成します。これにより、久留米大学発のNew FP療法を全国に普及させることを目指します。

また、新たな強みの創出に携わる人材育成を目的に「臨床研究主任研究者養成ユニット/CRC・リサーチナース養成ユニット」等を「未来医療研究人材養成拠点形成事業」の授業科目として開講しており、これに加えて高校生や一般市民に対するがん教育・啓発活動を強化し、継続的な医療人材の供給を図ります。

成果4:学術研究都市・久留米への貢献

がんの革新的治療法開発は、先に述べた地域イノベーションクラスタープログラムによるがんペプチドワクチンの開発により飛躍的に進み、がんペプチドワクチンの実用化を担うベンチャー企業の設立、東証マザーズへの上場という快挙を成し遂げ、米国でも治験を実施するレベルにあります。しかしながら、医薬品実用化に向けて本学からの継続的協力・支援が今後も重要です。
本学では地域の要望に応えるべく動物実験センターをベンチャーに開放しており、建設中の新研究棟ではラボも提供予定としています。

このように、地域のベンチャー支援に本学がより積極的に取り組み、テーラーメイドがん治療の多層的な拠点を形成することで、地域行政の施策と相まって、がん関連産業の久留米エリアへのさらなる進出・集積を促し、新たなベンチャー起業や雇用創出を生み、地域振興にも大きく貢献することを目指します。

 

本事業に取り組む組織

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