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目標を見つけ、根気強く努力して
文学部心理学科 浅野 良輔 准教授
先生の専門分野または研究テーマについて教えてください
専門分野は社会心理学やパーソナリティ心理学です。現在は主に、都市環境と幸福感の関連について研究しています。アメリカをはじめとする諸外国では、都会に住んでいる人たちは地方に住んでいる人たちよりも幸福感が低いのに対して、日本では、都会に住んでいる人たちは地方に住んでいる人たちよりも幸福感が高いことがわかってきています。今後は、その理由を明らかにしていきたいです。他にも、夫婦・恋愛・友人関係の研究、子どもの道徳性の研究、「スマホ育児」の研究などを大学内外の仲間たちとしています。
なぜその分野に興味を持たれましたか
子どものころに心理学が流行していて、テレビや雑誌でよく目にしていたのがきっかけでしょうか。大学進学を決めた際、高校の進路指導の先生から、大学に行くならまずは何をやるのか決めなさいと言われ、とりあえず知っていた分野である心理学に関する本を読むことにしました。
心理学を学ぶ学生の多くと同じように、私も最初は臨床心理学に興味を持ちましたが、自分には合わないとすぐに思いました。そうしていろいろ調べている時に手にした社会心理学のテキストに、人間関係に関する自分の考えにあてはまる理論を見つけ、社会心理学の研究をしたいと考えるようになりました。
ゼミではどのような活動をされていますか
学生には、ディスカッションと卒業論文執筆を通じ、社会人や大学院生としての基礎力を身に付けてもらいたいと考えています。そのために、(1) 自分なりの問いを見つける、(2) 自分の問いに合った論文・書籍を集める、(3) 論文・書籍に基づいて仮説を立てる、(4) 仮説を検証するためにふさわしいやり方でデータを収集・分析する、(5) データに根ざした説得力のある文章を書く、という5つを学生が自分でできるようにサポートしています。
先生の子どもの頃や学生時代について
もやもやした気持ちを抱えた子どもでした。小学生の時から、算数に対するコンプレックスが強かったです。ただ、心理学では統計分析が必要で、大学の統計学の講義も辛かったですが、自分の研究のために統計分析について学ぶことを今は割と楽しんでいます。自分の好きなことと結びつけることができれば、苦手なこともかんばれるというのは大人になってから実感しました。
また、バスケットボールが好きだったのに、中学校には部がなくてできず(地方出身者にはよくある経験でしょうか)、高校では部があるのに周りのレベルの高さを言い訳にやらなかったことをいまだに後悔しています。
休みの日は何をされていますか
子どもが小さいので、一緒にお昼寝したり出かけたりすることが多いです。
高校生のみなさんにメッセージをお願いします
目標を見つけて、それを達成するために根気強く努力してください。心理学では、こうした力を自己制御と呼び(最近では、非認知能力ともいわれます)、学力や収入の高さ、対人関係の良さ、心身の健康などにつながることが報告されています。苦手なことや辛いことがあっても諦めずにやり抜こうとする人は、成功できる可能性がきっと高くなるはずです。
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