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常識だと思っていることが、必ずしも常識ではない
文学部国際文化学科 神本 秀爾 准教授
先生の専門分野または研究テーマについて教えてください
文化人類学です。その中でも英語圏のカリブ海のジャマイカのことを一番長く研究しています。ジャマイカでは2つのことを研究していて、1つはラスタファーライという宗教運動です。もう1つはジャマイカのお葬式について研究しています。ラスタファーライはキリスト教系の新しい宗教と思ってもらえれば良いです。
なぜその分野に興味を持たれましたか
文化人類学が面白いと思ったのは、実際にフィールドに行くことができることです。一番堂々とジャマイカに住める方法かもしれないと思ったのが分野を決めた大きな理由です。
また、文化人類学とは色々な価値観を相対化したり、私たちが常識だと思っていることが必ずしも常識ではないと伝えてくれる学問で、そこが一番面白いと思っています。例えば、ジャマイカにはジャマイカの英語がありますが、いわゆる標準英語との関係は、標準英語とは何なのか、など植民地支配や差別を考えることにもつながります。日本にいると気づかないことを現場で考えることができるのが大きな魅力です。
ゼミではどのような活動をされていますか
授業形式のものとゼミ活動の2つがありますが、授業形式のものは学生の卒業論文に関わるものです。その際は、一般では見過ごされがちなポピュラーカルチャー、サブカルチャー、ジェンダー、宗教などの少しマイナーなトピックを主に扱うようにしています。ゼミの活動としては、この5年ぐらい「ckgz(チクゴズ)」という名前で、学生と主にレゲエの曲を作って、地域のアピールなどをしています。自分たちが学んだ学問をどのようにすれば有効に社会に還元できるか考え、その一つが学生や地域の人といっしょに曲をつくることかなと思っています。
先生の子どもの頃や学生時代について
すごく楽しかったのは、中学生の時からずっとバンドをやっていて、自分たちで音楽を作ったり、ライブをしたりしていたことです。限られた環境でしたが、自分たちなりの感覚を言葉にしようとしていました。
大学に入ってからは、どちらかというとのんびりしていました。大学は京都でしたが、京都という町は学生にとってすごく居心地の良い街で、徒歩や自転車でどこへでも行けます。時間を気にせず、友達と話したり、食事をしたり、少し遠い友達の家に遊びに行ったりしていました。
教育・研究者になったきっかけは何ですか
中学生の時から自分で音楽等を作っていたこともあり、大学では美学や芸術学という感性について語る学問を専攻しました。その中で、実際に自分たちで新しいものをつくっている人に興味を持つようになりました。その時に芸術作品ではありませんが、新しいものだと感じたのが、今でも研究しているラスタファリアンでした。彼らはキリスト教の聖書を解釈し直して、自分たちにとって新しい世界をつくろうとして、新しい習慣をつくったり、新しい言語を作ったりしました。そういった実際に生きている人のクリエイティビティに惹かれ、そこに行ってみたいなと思ったのが一番大きなきっかけです。
休みの日は何をされていますか
あまりオンとオフという感覚がなく、家でテレビを見ていても、これは授業のネタに使えるかもしれないとか、研究の種になるなどと考えることが多いです。
最近定期的にやっているのは、適当な場所からジョギングして家に帰るというのをやっています。知らない場所から知らない道を通って帰ってきます。知っている道だけを通るのも面白くないし、色々な発見があります。
高校生のみなさんにメッセージをお願いします
大学の4年間は学問についてはもちろん、人生についても色々な勉強ができる機会です。ぜひ、久留米大学に来てください。一緒に勉強しましょう。
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