学部・大学院のTOPICS 文医融合教育から生まれた「ぱるッぺ」が本格始動へ

文医融合教育から生まれた「ぱるッぺ」が本格始動へ

このたび、文学部情報社会学科の学生が制作したキャラクター「ぱるッぺ」が商標登録されました。

本学では、医学部を持つ強みを生かし幅広い知識や技術を学び、社会で実践的に活躍できる人材の養成に力を入れています。文系学部では、医学部や病院と連携した実習や授業が開講されており、「ぱるッぺ」もそんな「文医融合教育」から誕生しました。

「ぱるッぺ」の誕生、商標登録の経緯、そして今後の展望についてご紹介します。


「ぱるッぺ」誕生ヒストリー

このペンギンのキャラクター「ぱるッペ」は、2022年度の文学部情報社会学科の「ほとめきプロジェクト実習演習江藤智佐子教授担当)から誕生しました。受講学生が、久留米大学医療センター栄養室の活動をPRするために制作したものです。

キャラクターを使用したPR活動をするにあたって、病院長からも意見をいただき、学生たちはそこで自分たちの考案したアイデアやキャラクターが知的財産となること、知的財産権を取得していない場合には他者から権利侵害の警告を受ける可能性があることに気がつきました。

そこで学生たちから、実際の活動に必要な知的財産に関する知識を学ぶ必要性が提案され、外部講師(INPIT 福岡県知財総合支援窓口)を招いて「知的財産セミナー」が開催されることになりました。学生たちはこのセミナーを通じて知的財産について学び、そして「ぱるッぺ」の商標登録の手続きについては、本学で発明や特許に関する相談、知的財産の管理・教育・啓蒙活動、そして学内外との連携を行っている研究推進戦略センターの支援を受けて行われました。



2022年に栄養部のキャラクターとして制作した「ぱるッぺ」
2022年に栄養部のキャラクターとして制作した「ぱるッぺ」
知的財産セミナーの様子
知的財産セミナーの様子
(左から)村上さん、松尾さんとほとめきプロジェクトの学生たち、江藤教授
(左から)村上さん、松尾さんとほとめきプロジェクトの学生たち、江藤教授

研究推進戦略センターのコメント

リサーチアドミニストレーター(URA) 松尾綾さん

研究推進戦略センターは、大学内の研究成果を社会に還元するために、その研究成果としての知的財産を迅速かつ効果的に管理・育成・活用していくことを主たる目的とし設置されています。普段は医学部との連携が多いのですが、今回のように学生が制作したものを大学の知財として、商標登録したのは久留米大学では初めてのことです。

ほとめきプロジェクトでの提案は、情報社会や経済について勉強している文系学生ならではの視点があります。最近では大学発のスタートアップ(ベンチャー)企業が増えていて、大学生が起業するケースも少なくありません。起業家教育を授業に取り入れたり、起業や経営相談の窓口を設置したり、ビジネスコンテストを開催する大学も増え、学生が起業しやすい環境も整ってきています。こういった学びの場からも、新しい広がりが生まれることを願っています。

リサーチアドミニストレーター(URA) 村上郁磨さん

「ほとめきプロジェクト」は、医療センターの課題を学生のアイデアで解決していくとても良い取組です。職員では思いつかないような面白い発想が多く、「ぱるッぺ」はイラストの親しみやすさだけでなく、「pal(ぱる)=仲間」「ぺ=ペンギン(チームワークを大切にする動物)」という意味が込められたユニークなネーミングに感心しました。さらに、久留米市のキャラクター「くるっぱ」と語感の揃え方も見事です。今回、「ぱるッぺ」は商標登録され、大学の知的財産として権利が保護されました。これからはグッズの展開や、保健指導、栄養指導などに積極的に活用していただき、認知拡大して欲しいと思います。引き続き、「ほとめきプロジェクト」活動が、地域社会を豊かにしていくことを楽しみにしています。


ほとめきプロジェクトについて

ほとめきプロジェクト実習演習」とは、文学部情報社会学科江藤智佐子教授が、2018年から医学部を持つ本学の強みを生かして展開している、久留米大学医療センターと連携した課題解決型の授業で、医療センターとはこれまでにもさまざまな問題を解決をしてきました。

過去の課題解決事案】

「心通わせる七夕イベント」開催

車椅子を利用される患者さんへ「おもいやりスペース」の設置

医療センターのリーフレット制作

コロナ禍での「オンライン面会」

車いす用「まごころポッケ」

栄養室「メッセージボード」

【現在進行中の課題解決事案】

・入院オリエンテーション動画の作成

・夜間巡回時の会話ツール改善

・尿パックカバー製作

・情報コーナーのPR

・マスコットキャラクターの作成(ぱるッぺ以外)


「ほとめきプロジェクト」では、医療センター内から挙がる様々な課題に対して、学生たちが学科で学んだ知識・技能を活用し、自分たちでできる解決法を考え提案実施してきました。毎年学生の顔ぶれは変わりますが、医療センターの病院長、看護師、事務職員と6年にわたって培ってきた経験は、学生たちにとって貴重な学びとなっているだけでなく、医師や看護師からも「学生さんたちが入ってくれたことで新たな気づきがある」という意見もいただくようになりました。


SC

文医融合教育の「ほとめきプロジェクト」の成果について

荒井功副学長からのコメント

本学では人を大切にする教育を教育理念としています。人の命を守り、生活を豊かにし、生きる意味を深めることができるようにと考えています。こうした観点から教育研究活性化支援制度を設け優れた教育プログラムを採択し支援しています。とりわけ「ほとめきプロジェクト」は、学生が医療関係者と一緒になって考え、人を大切にするための課題を見つけ、改善に取り組む文医融合教育プログラムとして高く評価しております。今般、商標登録されたマスコットは活動の楽しいシンボルとなると思います。この取組が一層発展することを期待しています。


「ぱるッペ」今後の展望

「ぱるッペ」をデザインした池上葉乃さんは「自分の描いたキャラクターが商標登録までされるとは当初は想像もしていませんでした。私にとって大変貴重な経験となりました」と述べました。

「ぱるッペ」のプロジェクトに参加したほかの学生たちも、「私たちはコロナで入学式も中止となり、学校行事も少ない時期の学生です。そんななか外部の大人の方々とやり取りするこの授業は、難しいことも多くありましたが、自分の成長につながったと思います」「ほとめきプロジェクトは、チームで生み出す楽しさがありました。医療センターに合わせたスケジュールや準備などは大変なこともありましたが、ここで経験したことを社会に出てからも活かしていきたいです」「動画編集が大変でキャパオーバーになった経験があるので、後輩たちには時には弱音を吐いたり、人に頼ることも必要だよと伝えることができるようになりました」など、自分たちの成長につながる経験だったと語ってくれました。「ぱるッペ」の著作権は学生たちから大学に譲渡されています。


久留米大学が商標登録した「ぱるッぺ」は、いよいよこれから本格始動していきます。医療センターや大学病院の栄養指導だけでなく、医療情報の提供、健康診断などの際の印刷物やグッズなどに展開されていく予定です。


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