学部・大学院のTOPICS 小児・AYA世代のがんへの妊孕性温存治療について勉強会を実施
5月29日に産婦人科学講座の医局で「小児・AYA世代のがんへの※妊孕性(にんようせい)温存治療について」の勉強会が開催され、産婦人科、乳腺外科に所属する医師、看護師、助産師、胚培養士、学生など約40名が参加しました。
※妊孕性(にんようせい)…妊娠するための力のこと
この取り組みは、久留米大学医学部が不定期に実施している「ワンくる」というプロジェクトの一環です。教職員が所属の垣根を超えて共通のテーマについて学び合うということをコンセプトに産婦人科学講座からスタート、今回が9回目の開催となります。
「ワンくる」は、英語で「一つの」という意味を持つ「One」と久留米大学を表す「くる」を合わせて作られたネーミングです。異なる専門分野を持つ教職員がお互いに助け合い、学び合い、一つの久留米大学チームとして成長していこうという思いが込められています。
近年、がん治療の進歩により、小児やAYA(思春期および若年成人)世代のがん患者の生存率は向上しています。しかし、治療の副作用として生殖機能への影響が懸念され、妊孕性の温存が重要な課題となっています。若いがん患者にとって将来的な家族形成の選択肢を残すことは、心理的な支えとなり、生きる意欲を高める一因となります。
日本でも妊孕性温存治療への関心が高まり、2016年にはガイドラインが策定され、多くの医療機関での実践が推奨されています。久留米大学病院産婦人科でも現在、治療の実施を計画しており、まずは産婦人科と乳腺外科で勉強会を行いました。勉強会では、お互いの診療科における対応や問題点、最新の治療技術や他院への紹介の流れについての情報共有が行われ、積極的なディスカッションがなされました。
参加した乳腺外科の医師は、「今日をきっかけに大学の中で診療科同士が連携できる仕組みができれば助かる。患者さんへの説明のタイミングも工夫しながら貢献したい」とコメントしました。産婦人科の医師は「今後も定期的にカンファの機会を設け、症例報告や治療の相談などができる体制ができればより良い治療につながっていくと思う」と感想を話してくれました。