学部・大学院のTOPICS 「性の多様性に関するセミナー」を開催

「性の多様性に関するセミナー」を開催

本学のダイバーシティ・インクルージョン(DI)推進室は、6月8日、御井キャンパスにおいて、久留米大学FD/SD/市民公開講座「性の多様性に関するセミナー–生物学的視点で性の多様性をとらえよう–」を開催し、本学の教職員や地域の方など89名(対面49名、オンライン40名)が参加しました。

昨今はLGBTQという表現に触れる機会が増え、日本でも人権に対する理解や配慮が広がりつつありますが、未だ不十分です。一般認識では、性は男女・雄雌の二極的なものですが、なぜ性の多様性が現実に生じているのか。今回の講演では、お二人の講師に、生物学的視点から性の多様性についてお話しいただきました。

講演内容

演題:性のスペクトラムという新たな性の捉え方
講師:九州大学名誉教授、久留米大学医学部客員教授 諸橋 憲一郎 氏

諸橋氏は30年にわたり、生物の性について研究をされています。自然界には、逆の性に擬態する鳥やトンボ、何度も性転換する魚、生殖機能を持たないメスを性ホルモンで操るハダカデバネズミの女王などがいることが紹介されました。そして、新しい性の捉え方として「性のスペクトラム」という概念が示され、身体を構成する全ての臓器や細胞は性を持っており、雄と雌は単純に二極で分けることはできない連続する表現型であること、生物の性は固定されることなく生涯を通して変化し続けていることが説明されました。

講師の諸橋氏
講師の諸橋氏
講演中の様子
講演中の様子

演題:ヒトの性差とジェンダー
講師:総合研究大学大学院名誉教授 長谷川 眞理子 氏

長谷川氏の専門は行動生態学、自然人類学で、特に霊長類などの野生動物の研究を重ねつつ、人間の進化と適応についても研究されています。哺乳類の性別は性染色体によって決まりますが、単純にXXが雌、XYが雄というわけではなく、内部および外部の生殖器や脳の性別は、Y染色体上のSRY遺伝子が性ホルモンの働きを引き起こすことで決まること、そしてこの過程には個体差があることが説明されました。人の心や行動は脳によって作り出されますが、脳の性分化には文化環境が大いに影響することも話されました。

講師の長谷川氏
講師の長谷川氏
講演中の様子
講演中の様子

講演後の質疑応答では、参加者からそれぞれの視点でさまざまな質問があり、お二人の講師に時間いっぱいまで熱心にお答えいただき、盛会のうちに終了しました。

質疑応答も盛り上がりました
質疑応答も盛り上がりました
質疑応答2

参加した附設中3年生は「LGBTQをテーマに卒論を書こうとしている。この講演があることを知り、友だちを誘って参加した。性スペクトラムという概念を初めて知り、少し難しいけどとても興味深かった。これからいろいろなことを調べて卒論を完成させたい」と話しました。

集合写真

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