学部・大学院のTOPICS 学内教職員向けコーチング講座「EMACS(Educational and Medical Aid Coaching System)」第3期がスタート

5月24日・25日の2日間、旭町キャンパスにて学内教職員向けコーチング講座「EMACS(Educational and Medical Aid Coaching System)」第3期の初回学内実習が行われ、教職員および学生24名が参加しました。
EMACSは、教職員と学生のより良いコミュニケーションを通じて、教育・医療現場に活力を生み出すことを目的とした本学独自のプログラムで、2年前にスタートしたものです。今回の第3期をもって、これまでの修了者を含め、計60名の教職員がコーチング資格を有することになります。今回は初めて学生の参加も実現し、学内でのコーチングへの関心の高まりがうかがえました。
コーチングは、日本ではビジネス領域を中心に、自律支援や内発的動機づけ、コミュニケーション能力向上の手法として広く認知されていますが、医学教育や医療現場でこのスキルを有する教職員・医師はまだ少数です。一方、コーチング発祥の地である米国では、アメリカ医師会が中心となり、医師の卒前・卒後教育への導入が急速に進められています。


本プログラムの特徴は、抑うつや不安に対しても効果が高いとされるメンタルヘルス系コーチングを中心に学ぶことです。これにより、医療や教育に携わる教職員が心が満たされた状態で、より高いパフォーマンスを発揮することを支援することが狙いです。
講師には、一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事であり、公認心理師でもある川本義巳先生を迎え、受講者は7ヶ月間にわたり、オンライン講義(90分×12回)と学内実習(週末6日間)を組み合わせて学びを深めます。
今回の学内実習はその第1回目にあたり、参加者は「自己基盤を整え、自己受容を高めるエクササイズ」「信頼関係を築くためのスキルとスポンサーシップメッセージ」「傾聴・観察・質問・動機づけといったコーチング・コミュニケーション技法」などについてワーク形式で実践的に学びました。










実習の最後に川本先生は、「今回、皆さんに最もお伝えしたいのは、相手を尊重する『スポンサーシップ・メッセージ』にあふれた世界を作っていきたいということです。このコーチングセミナーも第3期を迎え、久留米大学の中にその芽が少しずつ育ち始めています。ここから、こうした世界が医療界全体へと広がっていくことを心から願っています」と語り、初回講座を締めくくりました。
受講者からは、「密度の高い時間で、今後の講座がますます楽しみ」「コーチングを体系的に学べたことで、現場での実践に意味を持たせることができた」「今日の学びを職場に持ち帰り、活かしていきたい」「さまざまな職種や年齢の方と意見交換ができ、視野が広がった」「講座を通して素晴らしい仲間と出会い、新しいつながりができたことが嬉しい」など、多くの前向きな声が寄せられました。

医学部では、2016年より保健管理センターの安川秀雄教授を研究代表者として、成績が低迷する6年生に対するコーチング支援研究が行われ、外部のプロのメンタルコーチによる継続的な個別コーチングによって、学生の心の状態と学業成績の改善が認められています。これまでにその支援を受け卒業した卒業生が、医師として医療現場で活躍しています。この研究が示す重要なことは、単なる成績向上にとどまらず、学生自身の内面的な成長にあります。
さらに今年度からは、1年生向けの新科目「医療プロフェッショナリズム」においても、コーチングがカリキュラムに正式に組み込まれ、協同学習と並ぶ医学教育の柱として位置づけられつつあります。
教職員がコーチ的な関わり方を実践的に身につけ、教育力の向上と学生の学びの向上を同時に実現することを目的として、「医学教育研究センター」の元に、新たに「コーチング委員会」が設置されました。今後もEMACSをはじめとする学内のコーチング推進活動が、教育・医療の現場に新たな価値をもたらしていくことが期待されます。