学部・大学院のTOPICS 地域農業論で愛林館館長の沢畑氏によるゲスト講義が行われました

6月12日、御井キャンパスにて、熊本県水俣市久木野地区にある村おこし施設「愛林館」の館長・沢畑亨(さわはた・とおる)さんによるゲスト講義が行われました。この講義は、経済学部の学生を対象に開講されている「地域農業論」(担当:冨吉満之准教授)の一環として行われたものです。
沢畑さんは附設高校を卒業後、東京大学に進学。百貨店勤務を経て、平成6年に全国公募により愛林館の館長に就任しました。現在は「風土・循環・自立」をキーワードとしたエコロジーに基づく地域づくりを推進しています。森林と棚田に囲まれた地域で、「今後2000年間、人が住み続け、森と棚田を守っていけるむらづくり」を目標に、持続可能な地域社会の実現に取り組んでいます。


講義の前半では、まず現在話題となっている米不足の問題を取り上げ、その背景にある社会的・環境的な要因について解説がありました。続いて、その一因とも関わる農村における暮らしに焦点を当て、沢畑さんが暮らす地域の事例をもとに、森の働きや棚田の役割について学びました。
後半では、身近な食品であるカップラーメンを題材に、原材料表示の見方を通して、私たちの消費行動と環境・地域経済との関係について考察。日々の選択が、どのように日本の農業や地域に影響を及ぼすかを考えるきっかけとなりました。




また午後には、経済学部1年生を対象とした基礎演習にも沢畑さんが参加。はじめに、食料自給率や農業政策に関する話題提供があり、その後、米不足をテーマにグループディスカッションが行われました。ディスカッションでは「県産米を買ってもらうには何が必要か」「備蓄米を買ったらどう料理する?」といったテーマについて、活発な意見交換が展開され、学生たちの高い関心がうかがえました。




最後に沢畑さんは、「迷ったら国産のお米を食べてほしい。それが田んぼを守ることにつながります」と学生たちにメッセージを送り、講義は締めくくられました。教科書では得られない現場の声に触れる貴重な学びの時間となり、学生たちは環境・地域社会・経済のつながりについて理解を深めていました。