学部・大学院のTOPICS 法学特殊講義「映画を使った地方創生」について

「法学特殊講義(地域連携と絣フェスタ25)」(担当:法学部 前田俊文教授)は、さまざまな企業や自治体、市民団体で活躍されているキーパーソンを特別講師としてお招きし、それぞれの取り組んでいる課題に対して学生たちが解決のためのアイデアを考えたり、特別講師が出したトークテーマについて、自分で考えグループで話し合うことで、新しいものの見方を発見する授業です。アクティブ・ラーニングの手法を取り入れることで、学生の主体性やコミュニケーション能力の育成をめざしています。
7月3日は映画作品「てっぺんの剣」の監督を務めた浜本正機氏をお招きし「映画と地方創生」をテーマに特別講義をしていただきました。
講義では、「映画監督になるまで」「映画とは」「地方創生とは」の3つのテーマに分けてお話しいただきました。監督ご自身の経験をもとに、映画制作の裏側や、地域と映画がどのように結びつくのかを語っていただきました。
また、講義後半では「映画を通じてできる地方創生とは?」をテーマに学生たちがグループワークを実施。 「久留米を舞台にすることで久留米の魅力発信や認知度の向上へつながる」「作品中に久留米の銘菓や特産品を登場させることで、視覚的に地域の魅力を発信できる」 など、さまざまなアイデアが学生から挙がりました。
こうした意見を受けて浜本監督は、映画が地域にもたらす経済効果を「一次的な経済効果」と「二次的な経済効果」に分けて説明しました。撮影時、ロケ隊やスタッフの移動費、宿泊費、食費、小道具づくりのための地元業者への依頼などを通じて、直接的に地域の経済が回る一次的な経済効果。さらに、映画に登場した風景や商品に興味を持った観客が「聖地巡礼」に訪れたり、関連商品を購入したりすることで、上映後にも新たな経済の動きが生まれることが二次的な効果です。自身の作品の「てっぺんの剣」に出てくる大分県の特産品である焼酎と温泉を二次的な経済効果の例に挙げ、説明しました。
また、映画とシビックプライド(市民の誇り)との関係についても触れました。映画の舞台として地元が登場することで、「自分たちのまちはこんなに魅力があるのか」と再発見につながり、住民が地域に誇りを持つきっかけになり、住民がロケ地の協力やエキストラとして関わることで、まちの一員として映画づくりに参加しているという実感が生まれ、自然と地域への愛着が育まれることを伝えました。映画は単に観光を促すだけでなく、地域に暮らす人々自身が「このまちが好き」と思える感情を引き出す力があると強調しました。
講義を受けた学生のコメント「久留米を題材にした映画が上映されたら、久留米を知らない人にも魅力を知ってもらえるいい機会であると思った」「日頃から久留米絣や筑後の歴史文化を学んでいる身としてとても興味深く、地域について改めて考えるいいきっかけとなりました。お金の流れについても考えるいい機会となりました」
今回特別講師を務めた浜本正機監督のコメント
「大学生活は、自分で選んだ場所で学び、出会い、考え、成長するかけがえのない時間です。 私自身も大学時代に得た知識や出会い、そして真剣に対話した経験が、今でも心に残っています。 人生の中で、大学の4年間はとても輝く時期です。だからこそ、学びにも遊びにも全力で向き合い、目の前の時間を大切にしてほしい。 「戯れるように学び、語り合い、楽しむ」――そんな大学生活が、きっと皆さんの未来を支える力になるはずです」
今後は浜本監督の活動のプロモーションに本学の久留米絣のPRグループ「絣藍ドル・あいくる」が関わっていく予定です。
