学部・大学院のTOPICS JICA岩間審議役が久留米大学で特別講演を実施しました
11月4日、御井キャンパスにおいて、JICA(独立行政法人国際協力機構)ガバナンス・平和構築部審議役の岩間望さんを講師に迎え、特別講演会が開催されました。会場には学生や教職員など約200名が参加しました。本講演会は、経済学部創設30周年記念事業の一環として実施されたものです。
本講演を企画した経済学部・長島正治教授のゼミでは、久留米市内で母子世帯を中心に支援を行う親子食堂「じじっか」と連携し、地域の貧困、特に母子家庭の課題をテーマに、学生が主体となって実践的な調査・支援活動を行っています。 こうした学生たちの活動を岩間氏に紹介したことをきっかけに、「それではSDGsの1丁目1番地である『貧困をなくそう』をテーマにお話ししましょう」とのご提案をいただき、今回の講演が実現しました。
岩間さんは、JICAで長年にわたりアジア地域を中心にガバナンス支援に携わり、国際協力の現場で「貧困」と「尊厳」の関係を見つめ続けてこられました。
当日の講演では、貧困からの脱却と持続可能な社会の実現に不可欠な「女性のエンパワメント」に焦点を当て、世界各国における貧困の現状や、JICAが進める「金融包摂(Financial Inclusion)」の取り組みなどについて、具体的な事例を交えながら分かりやすくお話しいただき、参加者は熱心に耳を傾けていました。
質疑応答の時間に、学生から「こうした課題には“完全な解決”が難しい現実もあると思います。JICAの方々や国際協力に携わる人々に共通する思いや、今後自分が国際協力に関わる場合に、どのような心構えを持つべきでしょうか」と質問が出ると、岩間さんは「貧困のような社会課題は短期間で完全に解決することは難しいものです。ただ、時間をかけて少しずつ生活や意識が変わっていく過程にこそ希望があります」と丁寧に答え、「小さな変化を喜びとして共有し、それを粘り強く見守る姿勢が大切ではないでしょうか」とメッセージを送りました。
会場からは大きな拍手が送られ、講演会は温かい雰囲気の中で締めくくられました。