学部・大学院のTOPICS 「広川サイクル」を若者の感性で回す。銀行・企業・自治体と挑む地域課題解決、最終プレゼンテーション
本学では、入学から卒業まで「キャリア」を軸に教育と支援の充実を図っています。
本学のキャリア教育科目「グローカル・キャリア(筑邦銀行・三井住友銀行連携講座)」は、筑邦銀行、三井住友銀行、本学が連携し、両行の協力を得て毎年開講している文系5学部を対象にした授業です。
本学基盤教育研究センター 酒井佳世准教授指導のもと、学生が地域の現状や課題に向き合い、解決策を自ら提案することで、「グローカル」な人材の育成を目指しています。今年度は「広川町の賑わいと活性化」をテーマに、16名の学生が4カ月間にわたりフィールドワークやヒアリングを重ねてきました。
1月14日、その集大成となる最終プレゼンテーションを御井キャンパスで開催。広川町副町長をはじめ、銀行や企業の第一線で活躍するプロフェッショナルを前に、学生たちが町の未来を描く渾身のプランを発表しました。
背景:人口減少の危機を「循環」と「人材育成」で乗り越える
広川町を含む福岡県南部では、今後急激な人口減少が予測されています。近隣自治体との人口の奪い合いでは町の活力は維持できない——。その危機感から生まれたのが、広川町の未来戦略「広川サイクル」です。
これは、人口を単に「増やす」のではなく、「子ども=地域社会の未来の担い手」の成長をしっかり支援することで、広川町で育った子どもたちが「充実した子ども時代」を過ごし、一度は町外へ羽ばたいても、結婚や育児を機に「広川は良い所だった」と戻りたいと願う、広川町に戻り生活基盤を築き子育てを行う、このサイクルを世代を越えて回し続ける人材の好循環を目指す構想です。
今回の講座で広川町が学生たちに求めたのは、このサイクルのエンジンとなる「子どもたちを夢中にさせるアイデア」でした。10年後、20年後の大人になった彼らが、「あの時の活動にはこんな意味があったんだ」と故郷に思いを馳せるような、未来への種まきが期待されています。
未来の「広川町」を描く4つの提案:目指すは「広川サイクル」の実現
少子高齢化という深刻な課題に対し、学生たちは若者ならではの視点で「広川サイクル」を回すためのプランを披露しました。
チームA「ヒロカワクエスト」
町全体をRPGの舞台に見立て、ミッションや職業体験を攻略しながら広川を知る体験型イベント。
チームB「ヒロッザニア」
広川サービスエリアを活用し、子どもたちが特産品販売等を企画から携わる長期プログラム。地元愛とキャリア観を育む。
チームC「広川ブレイク」
社会課題である空き家の廃材を「卒業制作」に再利用して、地元理解と思い出作りをすることでブレイクにつなげる。
チームD「広川町で最高な思い出を創る」
ラッピングバスで地元への愛着アップ&公民館で「子どもの居場所」づくりをして地域コミュニティをデザイン。
ビジネスの最前線から贈られた「プライスレスな経験」
発表を見守ったのは、広川町の川畑研介副町長をはじめ、筑邦銀行、三井住友銀行、株式会社まちのわの講師陣です。
プロの視点からは、「ワクワクする企画だからこそ、運営費の収支をどう持たせるか」「協力企業にどんなメリットを提示できるか」といった、実現可能性を問う鋭い意見やアドバイスが飛びました。学生たちは、単なるアイデアを「事業」へと引き上げるため、厳しくも愛のある指摘を、真剣な表情で受け止めていました。
指導にあたった酒井准教授は、「困難もあったと思いますが、まずは諦めずにやり切ったことが素晴らしい。経験者から直接フィードバックを受けることができたのはプライスレスな経験であり、この指摘は後から必ず活きてきます」と学生たちの健闘を称えました。
「アドバイスを聞けることが伸び代」——副町長からのエール
授業の最後には、広川町の川畑研介副町長より、これからの社会を生きる学生たちへメッセージが贈られました。
「広川町を題材に、課題解決の案を考えていただき大変楽しかったです。目的や手段、効果を考え、予算を立てるというプロセスは、社会のあらゆる場面で大切なこと。自分で考えて苦しみながらまとめたことは、皆さんにとって大きな経験になったはずです。課題を多面的に捉え、経験者からのアドバイスを素直に聞けることは、その人の『伸び代』です。たくさん吸収して、これからも前に進んでください」
参加した学生の声
「とても緊張したが、真剣にアドバイスをいただいたことでアイデアが広がった。今日受けた指摘をもとに、もう一回練り直して発表したいほど充実感がある。」
「1~3年生の混合チームだったので、先輩の資料作りがとても勉強になった。実際に広川町へ足を運び、チームで議論を重ねる中で仲も深まり、最高の経験になった。」
知識を教室の中だけで終わらせず、地域の「生の声」を形にする。今回、プロの洗礼を浴びながら必死に走り抜けた4ヶ月間は、学生たちが社会という大海原へ漕ぎ出すための確かな羅針盤となったはずです。