学部・大学院のTOPICS 『受け継ぎ、変えていく(地域・仕事・自分らしさ)』 特別公開講義【シティズンシップ論】

 『受け継ぎ、変えていく(地域・仕事・自分らしさ)』 特別公開講義【シティズンシップ論】

7月23日、御井キャンパスにて「シティズンシップ論」(基盤教育研究センター・中村寛樹教授担当)の授業内で、アントレプレナーシッププログラムの一環として特別公開講義が行われました。本講義は、久留米ビジネスプラザが主催する若年層向け創業人材育成プログラム「START-K」の取り組みの一つとして実施されたものです。

今回のテーマは「受け継ぎ、変えていく(地域・仕事・自分らしさ)」

後継者不在で休業中だった老舗を第三者として継承した林田茉優氏と、祖父の代から続く家業に入社し新たな挑戦を続ける黒木千佳氏という、2名の若手アトツギ(後継ぎ)をゲストに迎えました。

・林田 茉優 氏:株式会社吉開のかまぼこ 代表取締役社長

・黒木 千佳 氏:株式会社クロキ 商品企画部・広報部・ドレッシング事業部主任(3代目アトツギ)

 

講義を開始する中村寛樹教授
講義を開始する中村寛樹教授
ゲストプロフィールの紹介
ゲストプロフィールの紹介

講演では、はじめに林田氏が、自身の歩みを振り返りながら、老舗かまぼこ店を継承するまでの経緯について語りました。

福岡大学在学中に「ベンチャー起業論」の授業をきっかけに、「人生の経営者になる」という考え方に出会い、多くの経営者との交流を通して自身の価値観を育みました。

大学4年次には、後継者不足で廃業を決断した町工場の岡野工業㈱を訪問し、創業者・岡野雅行代表※の「後継者を育てられなかったことが心残り」という言葉に触れ、中小企業の事業承継という社会課題に関心を持つようになりました。

その後、仲間とともに九州各地で後継者問題の調査を進める中、136年の歴史を持つ老舗「吉開のかまぼこ」と出会います。無添加にこだわり、数々の受賞歴を持つ同社も、後継者不在により廃業を決断していました。

後継者探しを支援するものの適任者は見つからず、「君が社長をやらないか」と声を掛けられたことをきっかけに、かまぼこづくりの経験も経営経験もない中、大きな決断を下し、約4年半前、代表取締役に就任しました。

「目標から逆算する生き方だけでなく、目の前の出会いや出来事に真剣に向き合うことで道は開ける」と学生へメッセージを送り、「今を一生懸命に生き、振り返ったときに『面白い人生だった』と思える人生を歩んでほしい」という言葉には、会場の学生たちも心に響いたようでした。

※岡野工業㈱ 創業者 岡野雅行代表
京墨田区の下町にある世界のトップメーカーをはじめNASAや米国防総省などから注文が殺到する小さな町工場。「金型の魔術師」とも呼ばれる超一流の職人。世界一細い注射針や携帯電話の小型化を叶えたリチウムイオン電池ケースなど、不可能だと言われるような独自製品を数多く生産。

㈱吉開のかまぼこ 代表取締役社長 林田茉優氏
㈱吉開のかまぼこ 代表取締役社長 林田茉優氏
 

続いて登壇した黒木氏は、自身の学生時代の経験や家業を継ぐまでの自身の歩みを振り返りました。

小学生の頃、テレビで見た地球温暖化の特集をきっかけに環境問題に関心を持ち、「美しい地球を未来へ残したい」という思いを抱くようになったといいます。

大学時代にはオーストラリアへ留学し、エコツーリズムや環境保全について学びました。しかし、新型コロナウイルスの影響や自身のうつ病を経験したことで、自らの生き方を見つめ直すことになります。

その中で、「ワクワクを通じて地球を思いやるきっかけをつくる」という人生のミッションにたどり着き、旅行業ではなく、家業である食肉卸業を通じて社会に貢献する道を選択しました。

現在は、食肉卸業を営む家業に入社し、「ワクワクを通じて地球を思いやる」というミッションのもと、これまで廃棄されていた豚脂(ラード)を活用したスキンケア商品やドレッシングの開発など、新たな事業にも挑戦しています。

「自分が好きだと思えることをとことん突き詰め、その経験を積み重ねることが、自分らしい生き方や新たな挑戦につながる」と学生へメッセージを送り、「自分の心が動く方向へ、一歩踏み出してほしい」とエールを送りました。


㈱クロキ 商品企画部・広報部・ドレッシング事業部主任 黒木千佳氏
㈱クロキ 商品企画部・広報部・ドレッシング事業部主任 黒木千佳氏
 

「自分らしい生き方」を見つけるヒントを学生へ

「自分らしさを見つけるにはどうすればよいか」という問いに対し、林田氏は「学生だからこそ、会いたい人に積極的に会いに行ってほしい」とアドバイス。「さまざまな人との出会いを通して、『こんな大人になりたい』、『こういう生き方は素敵だ』という“お手本探し”をすることが、自分自身を知るきっかけになる」と語りました。

また黒木氏は、「自分自身と向き合い、好きなことをとことん突き詰めてほしい」と呼びかけます。「幼少期から現在までの出来事を書き出し、自分がなぜその行動を選んだのかを振り返ることで、自分らしさや価値観が見えてくる」と、自身の経験を交えながら語りました。

最後に両氏は、「学生という立場は、多くの人との出会いや新しい挑戦がしやすい貴重な時期」と口をそろえ、「興味を持ったことには積極的に飛び込み、多くの人と出会い、経験を積んでほしい」と学生たちへ力強いメッセージを送りました。

 

学生からの質問にも丁寧に答えていただきました
学生からの質問にも丁寧に答えていただきました
司会を務める阿多ななみ氏(START-K)
司会を務める阿多ななみ氏(START-K)
 
 

トークセッションの最後には、学生から寄せられた質問にゲストが答え、リーダーシップや仲間づくり、挑戦する姿勢について自身の経験を交えながら語りました。

最後に阿多氏が講演を締めくくり、今日の講演が「自分らしい将来を考えるきっかけになればうれしい」と述べ、学生へ地域でのビジネスコンテストや交流イベントへの参加も呼び掛けました。

会場は最後まで活発な雰囲気に包まれ、講演終了後もゲストを囲み、交流や質問を行うなど、多くの学生にとって学びと新たな視点を得るきっかけになる時間となりました。


【関連サイト】

久留米市公式若年層創業支援プログラム『START-K』

久留米大学 基盤教育研究センター教授 中村寛樹さんインタビュー

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