研究・産学官連携の研究TOPICS 【研究成果】バイオ統計センターで学ぶ医学研究科の大学院生が米国放射線腫瘍学会で優秀演題(Best of ASTRO 2020)を受賞

バイオ統計センターで「バイオ統計学」を学ぶ大学院医学研究科博士課程2年の齋藤哲雄さんが、2020年10月に開催された「米国放射線腫瘍学会(ASTRO 2020)」に参加、下記演題名で口頭発表を行い、2020年の優秀演題(Best of ASTRO)に選ばれました。
演題 「Influence of the Pain Duration on Pain Outcomes Following Palliative Radiotherapy for Painful Tumors: The Sooner the Irradiation, the Better?」
Saito T, Murotani K, Toya R, Tomitaka E, Matsuyama T, Yamaguchi K, Watakabe T,Oya N
https://www.redjournal.org/article/S0360-3016(20)33554-9/fulltext
本演題は、有痛性腫瘍に対する緩和的放射線治療後の疼痛緩和効果について、照射が早いほど効果が高くなることを示唆する研究です。
症状緩和のための放射線治療をどのようなタイミングで行うべきかについては、過去に知見がありませんでした。本研究では競合リスクモデルを用いることで、死亡を競合イベントとして適切に扱いつつ共変量の調整を行い、治療前の痛みの持続時間と治療奏効との関連を調べることが可能となりました。腫瘍による痛みが新たに認められた場合、1か月以内に放射線治療を行うことで高率に疼痛緩和が得られる可能性が示されました。放射線治療による症状緩和を、競合イベントや脱落を考慮に入れたevent history analysisで解析し、さらに新たな知見を探索することを目指しています。
Best of ASTROは多くの演題の中から意義深い一部のみが選ばれる賞で、受賞演題は各国での教育的会合で教材として使用されます。
