研究・産学官連携の研究TOPICS 【医学部医療検査学科】小原准教授 日本医業経営コンサルタント協会『情報活用コンペティション』で2年連続受賞

【医学部医療検査学科】小原准教授 日本医業経営コンサルタント協会『情報活用コンペティション』で2年連続受賞

医学部医療検査学科の小原仁准教授が、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会主催の2024年度(令和6年度)「情報活用コンペティション」において、「奨励賞」を受賞しました。

この表彰は、応募された成果物の中から、医業経営に有益な「活用できる情報・ツール」として高く評価された優秀な成果に贈られるものです。今回の受賞は、前年度の2023年度(令和5年度)における「優秀賞」に続き、2年連続の受賞となります。

2023年度(R5)「優秀賞」/ 2024年度(R6)「奨励賞」
2023年度(R5)「優秀賞」/ 2024年度(R6)「奨励賞」

「がん診療の地域占有率を日常生活圏単位で可視化する診療圏分析」

今回受賞した成果物「がん診療の地域占有率を日常生活圏単位で可視化する診療圏分析」は、小原准教授が情報活用のサポートを行っている外部医療機関において開発・実践された、「地域のがん医療の見える化」に関する情報活用の成果です。

具体的には、「地域で発生しているがん患者のうち、自院ではどれだけの人を診療しているのか?」という病院からの問いに応えるために行った調査・分析です。この手法により、病院が地域のがん医療をどの程度担っているのかを、中学校の校区といった身近な生活圏単位で把握することが可能となります。

 

<主な特徴>
1. 信頼性の高いデータを活用
国が整備している「がん登録データ」を用いて分析を行っています。このデータは、がん患者の数を正確に把握でき、地域医療の実態を的確に捉えるのに適しています。

2. 地域単位での診療状況を「見える化」
中学校区ごとに、がん診療の受け入れ状況を視覚的に表現。これにより、地域医療機関との連携の可能性や、医療体制強化の方向性を検討しやすくなります。

3. 多くの医療機関で再現可能
特別なシステムは不要で、すでに各病院に備わっているデータと、エクセルなど一般的なソフトを使って実施できます。これにより、新たな費用や作業負担をかけずに、多くの病院が取り組むことが可能です。

また、分析には「地域占有率」という指標を用い、地域内のがん罹患数に対する自院の診療実績の割合を算出しています。この算出には、性別・年齢別の罹患率と人口データなど、誰でも入手可能な公開情報を利用しています。

本成果物は、自施設のがん診療の提供状況を日常生活圏単位で評価し、今後の医療体制の整備・改善に活用できる実践的な手法です。今後もこのような分析手法が広く活用されることで、地域の人々がより安心して医療を受けられる環境づくりに寄与することが期待されます。

〔資料〕
https://www.jahmc.or.jp/wp-content/uploads/medical_profession/compe/R6/R6_div02_oba_document.pdf


小原仁准教授 コメント

 
 

今後は、医療分野にとどまらず、ヘルスケア全体においても、意識的・無意識的に情報化が急速に進展していくと見込まれています。一方で、蓄積された多種多様かつ膨大な情報の利活用は、依然として遅れをとっています。今後も、そうした情報資源を有効に活用することで、地域の住民や関係者の皆さまに貢献できる成果を着実に積み重ねてまいりたいと考えております。
関係者の皆さまにおかれましては、引き続きご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

久留米大学 医学部 医療検査学科 准教授
小原 仁 MPH.Ph.D.

医療経営管理学修士,上級医療情報技師,診療情報管理士指導者
基本情報:https://researchmap.jp/hitoshiobara


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