研究・産学官連携の研究TOPICS 病理部の安倍秀幸技師が「日本臨床細胞学会 技師賞(学術部門)」を受賞
病理診断科・病理部の安倍 秀幸主任技師が、「2025年度 日本臨床細胞学会 技師賞(学術部門)」を受賞し、2026年6月に神奈川県で開催された第67回日本臨床細胞学会総会にて表彰されました。
本賞は細胞診領域における卓越した学術的貢献に対して授与されるもので、全国に約7,000名いる細胞検査士の中から毎年1名のみが選出される大変栄誉ある賞です。
今回の受賞は、細胞形態学と分子生物学的側面を融合させた「統合病理診断」への深い知見に基づき、特に液状化検体細胞診(LBC)の有用性や細胞診材料における核酸品質の手法に関して多数の有益なデータを立証したことが高く評価されました。また、インパクトファクターの高い国際的学術誌への論文掲載をはじめ、研究・論文発表・教育・学会活動の多岐にわたる功績が認められての受賞となりました。
安倍主任技師のコメント
このたび、2025年度日本臨床細胞学会技師賞(学術部門)を受賞し、大変光栄に存じます。本賞の受賞にあたり、ご推薦くださいました久留米大学医学部 病理学講座の秋葉純先生、また、日頃よりご指導を賜っております病理診断科・病理部 草野弘宣先生、臨床検査部 内藤嘉紀先生、名誉教授 鹿毛政義先生をはじめ臨床および病理学講座の諸先生方、同僚の皆様に深く感謝申し上げます。本賞は、多くの方々のご支援とご協力のもと積み重ねてきた活動を評価していただいたものと存じます。
私が細胞診を学び始めた約25年前、組織診断に免疫染色が導入され始めた時代に、上司である河原明彦 副技師長から「細胞診にも必ずエビデンスが求められる時代が来る」とのお言葉をいただきました。この言葉に強い影響を受け、液状化検体細胞診(LBC)、免疫細胞化学、FISH、PCR、シークエンス解析などの分子病理技術を学んでまいりました。その後の研究では、肺癌をはじめとする悪性腫瘍を対象に、細胞診検体を用いた遺伝子解析やバイオマーカー評価、検体品質の向上などに取り組み、細胞診検体の有用性を明らかにすることを目標としてまいりました。研究を進める中では多くの課題にも直面しましたが、新たな知見を日常診療へ還元できたときは、大きな達成感を得ることができました。
近年、がんゲノム医療の進歩に伴い、細胞診検体の役割はますます重要性を増しています。適切な検体採取・処理・品質管理を基盤とした分子病理診断の実践は、今後の細胞検査士に求められる重要な責務の一つであると考えています。
このたびの受賞を励みとして、今後も細胞診と分子病理を融合した病理統合診断の発展に取り組むとともに、後進の育成に微力ながら貢献してまいります。
最後になりましたが、これまで温かいご指導とご支援を賜りましたすべての先生方、同僚の皆様に改めて深く感謝申し上げます。