お知らせ 田中 正敏名誉教授が2020年春の叙勲で「瑞宝中綬章」を受章
4月29日、2020年春の叙勲と褒章が発表され、久留米大学の田中正敏名誉教授が「瑞宝中綬章」を受章されました。内閣府では、春秋の叙勲として各界の功労者に叙勲を授与しており、瑞宝中綬章は「公務等に長年にわたり従事し、成績を上げた方」に贈られる勲章です。

田中先生は、九州大学医学部医学科をご卒業後、1971年に久留米大学医学部脳疾患研究所に助手として入局の後、医学部薬理学講座の助教授、ユトレヒト大学(オランダ)留学を経て、1986年に教授、2001年には医学部長に就任され、2006年に久留米大学を定年退職されるまでの長きに渡り医学・薬理学の教育・研究に貢献されました。同年、久留米大学名誉教授になられた後は、久留米市の医療法人社団 堀川会 堀川病院で、心療内科の医師として診療にあたられています。
田中先生のご専門は薬理学で、「ストレスに影響する要因の科学的解析(ストレスの時に脳がどう変化するかを明らかにした)」に貢献されたことに加え、医学部長としても医師研修制度の必修化や包括医療費支払い制度の導入など医学部の大改革期における貢献が評価されたものです。
教育の面でもこれまで本学以外も含め10,000人におよぶ医学科生、看護学科生の教育にも携わられ、医学生に薬理学のエッセンスを明解に理解させるために「超図解 薬はなぜ効くか」という書籍(1998年)を出版されるなど、わかりやすい視覚的情報を含む教材の開発を進められました。講義でも、オリジナルのイラストを用いて薬理作用を解説されることが多く、講義内容に加えてユーモアセンスのあるイラストは医学生に高く評価されていました。


受章を受け田中先生は、「決して私一人の功績ではなく、久留米大学時代に私の研究・教育を支援してくれた全ての方に対してのものだと受け止めています。久留米大学では90年余りの歴史に築かれた、レベルの高い研究が行われています。私立ならではの自由度の高い開かれた組織で、私もそこで先輩方に多くのチャンスをもらいました。これから研究をされる皆さんには是非、そんな伝統ある大学で研究ができることに誇りと自信をもって、能力を発揮していってほしいと思います」と話してくださいました。
現在でも、週に5日は診療現場に足を運ばれており「患者さんの言葉を聞き逃すことのないよう、しっかり話を聞くことを心がけている」と田中先生。言葉の端々から伝わる優しさに心癒される、そんな先生のお人柄が印象的でした。益々のご活躍を祈念しております。
