学部・大学院のTOPICS iPS研究の世界的第一人者・岡野栄之教授を招き特別講義

本学大学院医学研究科では、国内外で活躍する著名な研究者を招き、大学院生に国際的視野と学術的刺激を提供する「特別講義」を企画しています。
第4回となる今回は、本学医学部・疾患モデル研究センターが担当し、慶應義塾大学再生医療リサーチセンター長であり、iPS細胞研究と再生医療分野の世界的第一人者である岡野栄之教授をお迎えし、「中枢神経系の再生医療と疾患研究」をテーマにご講演いただきました。
岡野教授は、脊髄損傷や神経疾患の再生医療研究において多大な業績を上げられています。近年は、iPS細胞を用いた亜急性期脊髄損傷の臨床研究で、安全性とともに有効性を示唆する結果を発表し、大きな注目を集めました。また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対するiPS創薬研究でも、病態進行を遅らせる可能性を示し、社会的に大きな反響を呼んでいます。さらに、今年6月からは世界最大の幹細胞研究学会であるISSCR(International Society for Stem Cell Research)の理事長にも就任されています。


今回の特別講義では、脊髄損傷治療研究やALS創薬研究の最新成果に加え、未発表データを交えた最先端の知見が紹介されました。特に、久留米大学でも導入が進むコモンマーモセットを用いたパーキンソン病モデル研究では、従来のモデルでは再現できなかった病態を再現し、さらにヒト患者にも共通する初期異常を明らかにするという画期的成果が示されました。講義の中では、iPS細胞やAIなど新しい研究手法の進展と並行して、疾患理解や治療法開発には実験動物を用いた研究も依然として不可欠であることが強調されました。
質疑応答では活発な議論が交わされ、参加した学生や研究者からは、
「基礎研究から臨床応用まで一貫した流れを学ぶことができ、大変刺激を受けた」
「ニュースで知っていた成果を直接うかがうことができ、感激した」
といった声が寄せられ、今後の研究活動の大きな励みとなった様子がうかがえました。