研究・産学官連携の研究TOPICS 【研究成果】日本人は年代・性別を問わず「喜び」「くつろぎ」「幸福」を追求する

幸せのものさし「HEMA尺度」を用いて世界で初めて明らかに
久留米大学文学部心理学科の浅野良輔准教授らの研究グループは、楽しさや面白さを求めること(喜びの追求)、やすらぎや気楽さを求めること(くつろぎの追求)、人間としての成長や自分の能力の発揮を求めること(幸福の追求)の3つが、年代や性別を問わず存在することを世界で初めて明らかにしました。その研究成果が2020年6月10日に「Frontiers in Psychology」に掲載されました。
研究の概要
心理学における幸せの考え方として、楽しさや面白さを求めること (喜びの追求)、やすらぎや気楽さを求めること (くつろぎの追求)、人間としての成長や自分の能力の発揮を求めること (幸福の追求) の3つがあります。これらの幸せを測るための「ものさし」として、2010年に北米で開発されたHedonic and Eudaimonic Motives for Activities (HEMA) 尺度があり、浅野准教授らのグループは2014年にその日本版を作成しました。
しかし、HEMA尺度に関する日本の研究は主に青年を対象としており、それ以降の年齢層にもHEMA尺度を適用できるのかがわからないままでした。
今回、20~79歳の日本人1,892名を対象にウェブ調査を実施し、データを統計的に解析した結果、年代や性別を問わず、HEMA尺度は喜びの追求、くつろぎの追求、幸福の追求の3つに分けられることが世界で初めて明らかにされました。また、青年を対象としたこれまでの研究と同様に、HEMA尺度は3つの幸せを適切かつ高い精度で測定していることも確かめられました。
今後期待されること「幸せ度の見える化」
本研究から、HEMA尺度は日本人の3つの幸せを測るための有益な「ものさし」といえます。今後は、3つの幸せの国際比較や、これらの幸せがその後の人生における結果 (学業、仕事、収入など) に与える影響の解明が期待されます。
今回の研究成果について
【論文名】 The Hedonic and Eudaimonic Motives for Activities: Measurement invariance and psychometric properties in an adult Japanese sample
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.01220
【著者】 Ryosuke Asano , Tasuku Igarashi , & Saori Tsukamoto