研究・産学官連携の研究TOPICS 【研究成果】2型糖尿病の病態形成に関わる遺伝子クラスターとその病的意義に迫る
本学医学部医化学講座の山本健教授、横田充弘客員教授らは、国際共同研究により、2型糖尿病(T2D)の病態生理に関わる遺伝子クラスターとその病的意義を包括的アプローチにより解明し、その成果がネーチャー誌に報告されました(Nature, February19, 2024, online)。
研究の概要
山本教授らは、T2Dの発症および病態形成に関わる遺伝子の探索と病態解明を目的として国内外の研究者と共同研究を展開し、これまでに「日本人における2型糖尿病関連遺伝子KCNQ1の同定」(Nat. Genet. 2008, 40:1092-1097)、東アジア人における2型糖尿病関連遺伝子の解明」(Nat. Genet. 2011; 44: 67-72、および Nature 2020, 582: 240-245.)、「2型糖尿病関連遺伝子の人種間多様性」(Nat. Genet. 2014; 46: 234-244、および Nat. Genet. 2022, 54: 560-572.)などを報告してきました。今回の研究では、これをさらに発展させ、複数人種にわたる約250万人の解析結果をもとにT2Dの発症および病態形成に関わる611遺伝子を抽出し、これらを重複しない機能・表現型クラスターに分類しました。そして、クラスター特異的なポリジェニックスコアをもとに他の病態の発症リスクを検討し、肥満形成クラスターに属するT2D関連遺伝子群が、冠動脈疾患や末梢血管障害発症などに関与することを明らかにしました。
これらの結果は、T2Dの不均一で多様な病態の成立機序に関し遺伝子レベルでの理解を深めると同時に、先進的な治療法開発への道を拓くものと期待されます。
論文詳細
【ジャーナル名】 Nature(オンライン版)
【公開日】2024年2月19日
【著者名】Suzuki K, Hatzikotoulas K, Southam L. et al.
【タイトル】Genetic drivers of heterogeneity in type 2 diabetes pathophysiology. (2型糖尿病病態生理における不均一性の遺伝的要因)