研究・産学官連携の研究TOPICS 臨床検査部 伊藤慎一郎主任技師が日本超音波検査学会学術集会で「優秀症例報告賞」を受賞

臨床検査部 伊藤慎一郎主任技師が日本超音波検査学会学術集会で「優秀症例報告賞」を受賞

大学病院の伊藤主任技師が日本超音波検査学会にて「2025年度学術賞 優秀症例報告賞」に唯一の受賞者として選出されました。

この学会は、超音波医学およびその関連学問領域の進歩普及、学術の発展に寄与することを目的としたもので、2025年に日本超音波検査学会機関紙へ掲載された論文の中から、伊藤主任技師の論文が最も優れた症例報告として選出されました。

授賞式は、2026年6月に北海道で開催された第51回日本超音波検査学会学術集会において執り行われました。

演題名:3D経胸壁心エコー図検査が有用であった左室穿孔型バルサルバ洞動脈瘤破裂の小児例

伊藤主任技師のコメント

このたびは、このような栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。本症例では、3D心エコーの技術を活用することで、左室へ穿孔するバルサルバ洞動脈瘤破裂という極めてまれな病態を診断することができました。検査を行う中で改めて感じたのは、「当たり前」と思っている症例の中にも、実は異なる病態や疾患が隠れている可能性があるということです。先入観を持たず、一つひとつの所見を丁寧に評価する姿勢こそが、正確な診断につながるのだと改めて学びました。また、3D心エコーが診断や治療方針の決定に大きく貢献できることを実感した症例でもありました。

今回の受賞は、ご指導いただいた小児科の鍵山先生、須田教授、臨床検査部部長の内藤先生をはじめ、日頃より支えてくださっている多くの皆様のお力添えによるものです。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

授賞式の様子
授賞式の様子
優秀奨励報告賞
「臨床検査技師のどんな仕事をしているか」

現在、超音波診断センターに所属し、主に心血管エコー検査を担当しています。また、手術室へ出向して術中の心エコー評価を行うなど、検査室の枠を超えて診療支援にも携わっています。さらに、生理機能検査部門全体の学術指導をはじめ、若手技師の教育・研究支援にも力を注いでいます。質の高い検査を提供することはもちろん、その知識や技術を次世代へ継承し、臨床検査技師全体のレベルアップを通じて医療の質の向上に貢献することも、重要な役割だと考えています。

「研究を始めたきっかけ」

近年、心エコーの分野では3Dエコーの技術が飛躍的に進歩し、立体的に心臓の構造を描出することができるようになっています。しかし、その詳細な評価には超音波プローブを口から食道内へ挿入して心臓を観察する経食道心エコーが必要となることが多く、患者さんへの身体的負担は決して小さくありません。特に小児では、体格などの理由から実施が困難な場合もあります。そこで、より負担の少ない経胸壁心エコー(胸の上から行う心臓の超音波検査)で、どこまで精密な診断ができるのか。その可能性に興味を持ち、研究を始めました。

技術や知識を積み重ねることで、患者さんに優しく、そしてより精度の高い検査を提供できる。その可能性を広げられることがエコー検査の魅力であり、私が研究を続ける原動力となっています。

臨床検査部の皆様と
臨床検査部の皆様と
臨床検査技師という仕事について

臨床検査技師は、血液検査や生理機能検査を通じて、病気の診断や治療方針の決定を支える医療専門職です。私が担当する超音波検査では、画像を撮影するだけでなく、患者さん一人ひとりの状態を把握しながら必要な情報を引き出し、診断に役立つ質の高い検査を行うことが求められます。

近年、AI技術の発展により、超音波検査においても高速かつ再現性の高い解析が可能になってきました。一方で、得られた結果が本当に妥当なのかを判断し、患者さんの状態や臨床経過を踏まえて総合的に評価するためには、検査者の知識や経験が欠かせません。

また、タスクシフトの推進により、手術室や病棟など、従来よりも幅広い医療現場で臨床検査技師が活躍する機会が増えています。今後は、医学的知識と高度な技術に加え、AIなど新しい技術も活用しながら、より質の高い医療を提供していくことが求められる時代になると考えています。さまざまな現場で活躍することで、臨床検査技師という職種の価値や存在感をさらに高めていきたいと思っています。

研究TOPICS

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