地域貢献のTOPICS 地域の子どもたちに「命を救う講習会」を実施

地域の子どもたちに「命を救う講習会」を実施

久留米大学心臓血管内科/高度救命救急センターの大塚麻樹医師は、久留米市の小学校6年生を対象に、胸骨圧迫とAEDの使い方を習得してもらう講習会を実施しています。

この講習は、全国的に広がっている活動「PUSH PROJECT」(NPO法人ライフサポート協会から発足した、胸骨圧迫とAEDの使い方の普及を通じて、突然倒れた方を救命できる地域づくりを目指すプロジェクト)に賛同した大塚医師が中心となり、医師、看護師、学生、久留米広域消防本部の方などがボランティアとして協力し、小学生に分かりやすく「命を救う方法」をレクチャーする取り組みです。

アニメーションを使って指導するので、集中力の続きにくい子どもにも適しているのが特徴です。

久留米市立小森野小学校で講習会を実施

10月12日に久留米市立小森野小学校で開かれた講習会には、6年生53人が参加しました。大塚医師をはじめ、医師や看護師、学生や久留米広域消防本部のスタッフから、突然倒れた人への心肺蘇生術やAEDの使い方を学びました。

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講習会の様子

はじめに大塚医師から、実際に突然倒れた人のエピソードを交えたメッセージビデオを紹介し、「なぜ皆さんに心肺蘇生術を学んでもらうのか?」についてのお話がありました。

いつどこで起こるか分からない心臓突然死は交通事故死よりもはるかに多く発生しています。心臓突然死を救うには、病院に到着前の心肺蘇生術が何より大切です。心肺蘇生術が1分遅れるごとに救命率が約10%低下するといわれています。

大塚医師は「自分の周りで突然死が起こるかもしれないという現実を知り、心肺蘇生術を学ぶことで助かる命があることを知ってほしい」と話し、小学生は真剣な表情で聞き入っていました。

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ここからは、実際に倒れている人を見つけた時の対処法を実践練習します。小学生は、一人一つずつ配られた人型の描かれたシートを広げ心臓の位置にハートの形をした音の鳴るクッションを置き、胸骨圧迫の位置や姿勢を確認します。

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アニメーションを見ながら、倒れている人を見つけたら何をするべきかを学びます。

・倒れている人を見つけたら、周囲の安全を確認し駆け寄り声を掛ける

・「119番とAEDをお願いします」と周りに大声で応援を頼む

・119番の際は電話を切らずにスピーカー機能などで救急隊のアドバイスを聞く

・呼吸を確認し、死戦期呼吸あるいは呼吸がわからなかったらすぐに胸骨圧迫を開始する

・胸骨圧迫は周りの人と交代しながら続ける(救急車が到着するまで平均約9分)

その後は、二人一組のペアになり、スタッフのレクチャーを受けながら倒れている人を見つけた場面から胸骨圧迫までの実践練習を繰り返します。

AEDの使い方についても、電源の入れ方からパッドを貼る位置、電気ショックボタンを押すまでの一連の流れを勉強しました。

小学生は終始真剣な表情で、周りと声を掛け合いながら熱心に実践練習に取り組みました。

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約1時間の講習が終了した後は、参加した小学生全員に修了証が渡され、小学生からは、「今日胸骨圧迫をしたのは30秒でしたが、もっと長い時間続けるのは大変だと思いました」「今日の経験をもとに、勇気を出して119番とAEDの声掛けをしたいと思います」という声が聞かれました。

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最後に大塚医師から「今日学んだことをぜひ家族に話してください。救える命がきっとあります。普段からAEDの場所も確認してください。」と話があり、小学生からは「人が倒れていたら勇気を持って声を掛け、助けたいと思います」と感謝の言葉が述べられました。

このような講習を受けるのは初めてという小学生がほとんどでしたが、皆熱心に取り組んでくれました。

大塚医師たちは、救える命を確実に救う街づくりを目指して、今年度中に久留米市内の44小学校で講習会を開催していきます。

お問い合わせ

講習の内容についてのご質問、講習の開催依頼などありましたら、下記までお気軽にご連絡ください。

一緒に講習を手伝ってくださるボランティアも随時募集しています。

E-mail : chikugo_push@kurume-u.ac.jp

代表者: 久留米大学 心臓・血管内科(高度救命救急センター CCU) 大塚麻樹