地域貢献のTOPICS 法学特殊講義に「絣の里巡り実行委員会」「高良山同志会(獅子舞)」が登壇~地域の伝統を未来へつなぐ

法学特殊講義に「絣の里巡り実行委員会」「高良山同志会(獅子舞)」が登壇~地域の伝統を未来へつなぐ

久留米絣は1800年ごろに発案され、現在では国の重要無形文化財にも指定されている伝統工芸品です。近年、その魅力が再評価される一方で、220年の歴史を経た現代では、後継者不足や認知度不足といった課題も抱えています。

本学では、地元の大学としてこうした伝統文化の課題解決に取り組み、地域貢献・地域活性化を目指しています。法学部では、前田俊文教授のゼミ生らを中心に、サービスラーニングの一環として「絣フェスタ」という久留米絣のファッションショーを企画・実施。そこから誕生した学生グループ「絣藍ドル・あいくる」は、久留米絣の衣装を身にまとい、地域のさまざまなイベントに出演するなど、若者ならではの視点で久留米絣の魅力を発信しています。

4月24日には、地域の伝統文化の継承・振興に取り組む2つの団体を招き、「法学特殊講義」(地域連携と絣フェスタ25)が開講されました。本講義は、地域連携センター長でもある前田教授が担当し、地元文化・伝統への理解と地域貢献の意識を高めることを目的としています。学生たちにとって、地域課題に直接触れる貴重な機会となりました。

講義する前田教授
講義する前田教授
講義の様子

絣の里巡り in 筑後

最初に「絣の里巡り in 筑後」実行委員会の皆さんが登壇し、イベントの内容を紹介しました。このイベントは約30年続く歴史ある取り組みで、筑後市の工房を巡りながら、久留米絣の魅力に触れることができます。昨年は、法学部の学生グループ「あいくる」がファッションショーでイベントを盛り上げました。

講義では、田中絣工房織元の田中麻美子氏より、久留米絣の創始者・井上伝が生み出した手織り技法や、藍染め文化の価値について説明がなされました。続いて、筑後市商工観光課の吉川みゆき氏のご挨拶の後、筑後市観光協会の牛島麻里子氏から、6月7~8日に開催される「絣の里巡り」の内容や、熊野神社の参道をランウェイとして行われるファッションショーやカフェ、ワークショップなど多彩な催しについて紹介がありました。

さらに、久留米絣協同組合青年部が大阪・関西万博の「未来の文化」エリアに出展を予定していることも共有され、伝統産業の未来を切り拓こうとする意気込みが伝わる時間となりました。

さまざまな絣の技法を説明する田中氏
さまざまな絣の技法を説明する田中氏
イベントについて紹介する筑後市観光協会の牛島氏
イベントについて紹介する筑後市観光協会の牛島氏

高良山同志会(獅子舞)

続いて登壇したのは、高良大社の獅子舞文化を守り伝える「高良山同志会」(高良大社に奉納する獅子舞の保存会)の代表・渡邊政文氏。法学部の学生らによる「絣フェスタ」プロジェクトのメンバーが高良大社で行った久留米絣ファッションショーでも獅子舞の貴重な獅子頭を会場に飾っていただくなどしてご協力いただいたことをきっかけに、今後も連携した取り組みを計画しています。

高良大社における獅子舞奉納の歴史は千年近くにわたり、地域住民による伝承だけでも350年以上続いています。昭和52年には16歳から60歳までの男子による同志会が結成され、今日まで伝統を継承してきました。

講義では、25kgにも及ぶ獅子頭(全体では50kg)を操る体力と技術の継承の難しさ、また後継者不足といった現代的な課題についても語られましたが、昨年からは本学の学生2名を含む若手5名が新たに加わったことや、更に若い世代を育成すべく行われている「子ども獅子の体験会」など、獅子舞文化継承への明るい兆しも伝えられました。

高良山獅子舞の歴史について説明する渡邊氏
高良山獅子舞の歴史について説明する渡邊氏
獅子頭の説明をする渡邊氏

久留米絣衣装のメイキング

最後に、あいくるの衣装をデザインし、本講義でも非常勤講師も務める「久留米絣みらい研究室Coppolart」代表の古賀円氏から、久留米絣との出会いや絣をハブとしたさまざまな地域との取り組み、そしてあいくるの衣装に込めた想いなどが語られました。

講義する古賀氏
講義する古賀氏
デザインしたあいくるの衣装を紹介
デザインしたあいくるの衣装を紹介

学生たちは、久留米絣や獅子舞といった地域の伝統資源が抱える現実的な課題に直面しながら、それでも未来へとつなごうとする地域の人々の努力に触れ、文化の重みと地域への関わりの意義について深く考える時間となりました。

受講した清原那菜さん(法学部国際政治学科2年)は、あいくるのメンバーとして「絣の里巡り in 筑後」のファッションショーにも参加予定です。 「最初は地味な印象を持っていた絣ですが、先輩の影響であいくるに参加し、作り手の方々の情熱に触れるうちに、自分もその魅力を精一杯伝えたいという思いが強くなりました。これからもたくさんの方に久留米絣の魅力を発信していきたいです」と話してくれました。他にも学生から「地域の伝統工芸や文化に関わる方々から直接話を聞く貴重な機会となり、地域の問題や課題に対する関心が高まった」という感想が多く寄せられました。

本学では、今後も地域と連携した教育プログラムを通じ、次代を担う人材育成に取り組んでまいります。

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