学生生活・就職のTOPICS 「あなたの気持ち、そしてわたしの気持ち」をテーマに大学院生が中心となり健康教育を実施

「あなたの気持ち、そしてわたしの気持ち」をテーマに大学院生が中心となり健康教育を実施

9月6日、久留米市立明星中学校の特別支援学級1~3年生を対象に、「あなたの気持ち、そしてわたしの気持ち」をテーマに、本学大学院の医学研究科助産学分野の院生と医学部看護学科の4年生が健康教育を実施しました。

助産学分野では、近年の多様化する性と生殖の現場についてさまざまな角度から学びを深める「ウィメンズヘルス特論/演習」や、現代の多様化するセクシュアリティについて掘り下げていく「ヒューマンセクシュアリティ論」などの授業科目があり、その学びをいかして、院生が毎年、市内の中学校で健康教育を実施する取り組みを行っています。中学生とともに、「性についての正しい知識」や「命の大切さ」について一緒に学び考える「ピア・エデュケーション活動」です。

メンバーは院生8名、今回は看護学科生3名も参加
メンバーは院生8名、今回は看護学科生3名も参加
始まる前に円陣を組んで気持ちを高めます
始まる前に円陣を組んで気持ちを高めます

今回の対象者である学級には、人との適切な関係性や距離感、自分の気持ちを人に伝えること、相手の気持ちを想像することが苦手な生徒もいます。そのため、対人関係においてトラブルが生ずる可能性があったり、被害にあっても伝えられなかったり、そもそも被害にあったことに気付けないかもしれないという課題を抱えています。このことから、①自分がしたいことや楽しいことが他人と同じことではないことを知る②自分の気持ちを大切にし、意思表示することの大切さやその方法を知る③自分と相手(友達/先生)ではプライベートゾーン/パーソナルスペース(身体的・心理的距離)があり、それはそれぞれ個人で異なることを知るという3つの目標を設定し、生徒たちが興味を持ちやすい内容の劇を交えて実施しました。

親睦を深めるために簡単なゲームで交流
親睦を深めるために簡単なゲームで交流
好きな方を選ぶ2者択一のゲームで盛り上がりました
好きな方を選ぶ2者択一のゲームで盛り上がりました

まずは「自分がしたいことや楽しいことが他人も同じではない」ことについて考えます。Bちゃんのことを可愛いと思って追いかけて抱きつこうとしているAくんと、Cくんを驚かせた後にズボンを下ろそうとしているDくん。この二人の行動は良い行動か、悪い行動かについてみんなで確認しました。

Bちゃんに抱きつこうとするAくん
Bちゃんに抱きつこうとするAくん
Cくんのズボンを下ろそうとするDくん
Cくんのズボンを下ろそうとするDくん

次に「自分の気持ちを意思表示することの大切さとその方法」について考えます。Bちゃんは「急に抱きつかれそうになって嫌だった」と言い、Cくんは「嫌だったけど何も言えなかった」様子です。ここでは、嫌だと思うことがあったら「いや!やめて!」と我慢せずにハッキリ相手に伝えること、そして、もしその場で言えなかった場合や、嫌なことや困ったことがあった場合は親や先生など大人に相談することの大切さを学びました。

良い行動か悪い行動かについて考えました
良い行動か悪い行動かについて考えました
嫌なことをされて先生に相談するCくん
嫌なことをされて先生に相談するCくん

最後は「プライベートゾーン、自分と相手(友達/先生)のパーソナルスペースの違い」について考えます。Cくんに嫌なことをしたかもしれないと感じているDくんが家で姉に相談しています。姉は、DくんがCくんの体の大切な部分に勝手に触ろうとしたことが良くなかったと指摘し、体には、人に触られたり、見られたりしたらいけない大切なところが3つ(肌着で隠れる部分、下着で隠れる部分、口)あり、それをプライベートゾーンということを教えました。

姉からプライベートゾーンについて教えてもらうDくん
姉からプライベートゾーンについて教えてもらうDくん
学校で友達の気になる行動を見て疑問を抱くDくん
学校で友達の気になる行動を見て疑問を抱くDくん

その後Dくんは学校で、顔が近かったり、勝手に髪の毛を触ったり、膝の上に座ったり、先生に抱きついたりする友達の行動が気になるようになりました。先生にそのことを伝えると「人によって、近い、嫌だと思う距離感が違うこと」「向かい合って、お互いの手が当たらないくらいの距離がちょうどいいこと」を教えてもらいました。

パーソナルスペースについて先生から説明
パーソナルスペースについて先生から説明
人とのちょうどいい距離を確かめます
人とのちょうどいい距離を確かめます

最後に院生から「今日学んだ3つのことを大切にできると、友達や先生、家族、そして自分自身を大切にすることができます。自分の気持ちと相手の気持ちを考えて、これからの学校生活を楽しんでください」というメッセージが伝えられました。

明星中学校の大鶴浩子校長先生は「生徒と年齢が近い学生さんから話をしてもらえたことはとてもありがたい。生徒たちは理解力がそれぞれ異なるので、耳で聞くだけではなく、スライドや人形などを使って視覚的にも分かるように工夫してもらったので、イメージがわきやすかったと思う。これで終わりではなく、今日を入口として、今後も学習教育を続けていきたい」と話されました。

サブリーダーの宮川さんとリーダーの永井さん
サブリーダーの宮川さんとリーダーの永井さん

今回リーダーを務めた永井実広さん(医学研究科1年)は、「対象者がどういう方たちなのか、情報収集をしっかり行い、それに応じたものになるように話し合って作り上げた。ナレーションは、読むだけでは伝わらないと思い、伝えたいことの前に間を空けたり、抑揚を付けたりすることに心がけた。生徒さんはスライドや私を見て、考えながら集中して聞いてくれていたので嬉しかった」と話し、サブリーダーを務めた宮川優香さん(医学研究科1年)さんは、「学校の中で実際に起こり得る事例を取り上げ、さまざまなことを具体的に伝えるようにした。また、センシティブな内容が大部分を占めていたので、分かりやすい言葉で伝えられるようにした。生徒さんの反応を見ながら進められたのが良かったし、楽しそうに笑って参加してくれたのでよかった」と話しました。