学生生活・就職のTOPICS 「私の気持ち、あなたの気持ち」をテーマに大学院生が健康教育を実施
11月10日、久留米市立明星中学校の1~3年生を対象に、本学大学院医学研究科助産学分野の大学院生と看護学科の卒業生が「私の気持ち、あなたの気持ち」をテーマとした健康教育を実施しました。
助産学分野では、近年の多様化する性と生殖の現場について学ぶ「ウィメンズヘルス特論/演習」や「ヒューマンセクシュアリティ論」などの授業科目があり、その学びをいかして院生が市内の中学校で健康教育を行う取り組みを毎年実施しています。思春期を迎える中学生とともに、「性についての正しい知識」や「命の大切さ」について学び合うピア・エデュケーション活動の一環です。
生徒の中には、相手の気持ちを読み取ることや、適切な距離感を保つことが難しい場合がある生徒もいるため、今回は ①自分と相手の気持ちを大切にし、お互いの違いを知ること、②相手との距離を保つ方法とその大切さを知ること、③困ったときに大人へ相談すること、という3つの目標を設定し、学生たちは劇やゲームを交えながら、楽しくわかりやすい授業を行いました。
授業はまず、「好きなものゲーム」で和やかな雰囲気づくりからスタートしました。続いて、A子さんとB太さんの劇を通して「好きという気持ちの伝え方」について考えました。B太さんがA子さんに人前で「好き」と伝えたり、見つめたり追いかけたりする場面では、「自分の気持ちを伝えることは大切なことだけれど、好きの大きさや感じ方は人によって違う」ということ、そして「気持ちを伝える前に相手の気持ちを考えることの大切さ」を学びました。
その後のC子さんとD子さんの劇では、「人との距離のとり方」について考えました。C子さんがD子さんに、抱きついたり、腕を組んだりする場面では、仲良しの友達でも距離が近いと困る人や嫌だなと思う人がいることを知りました。その上で、前ならえをしながらお互いが心地よく感じる距離を体験し、「自分と相手の距離を大切にすることで、お互いを大切にする気持ちにつながる」ことを学びました。また、嫌な気持ちを抱いたときには「嫌だ」と伝えること、言いにくいときには家族や先生に相談することの大切さについても考えました。
最後に学生たちは、「あなたの気持ちには、ちゃんと意味がある」というメッセージを伝え、自分の気持ちを大切にしながら、周りの人の気持ちにも目を向けてほしいと呼びかけました。生徒たちは、スライドや劇を見ながら真剣に考え、時にはお友だちと意見交換するなど、積極的に学ぶ姿が見られました。
今回リーダーを務めた修士1年の池田瑞希さんと渡邉紗彩さんは、「事前に参加される生徒の背景や状況をうかがっていたので、それを踏まえてテーマや内容を組み立てた。専門的な言葉は、できるだけ日常的な表現に置き換えたり、話すスピードや間の取り方を調整したりして、伝わりやすさを意識した。実際には予想以上に反応があって、みなさんが考えながら聞いてくださっているのが分かり、うれしかった」と振り返りました。
大学院生たちにとっても、思春期の子どもたちと向き合う貴重な経験となりました。今後も、本学では地域に根ざした健康教育を通じて、次世代の健やかな成長を支えていきます。