学生生活・就職のTOPICS ウクライナ精神科医の研修受け入れと特別講演を開催 ―戦禍におけるメンタルヘルス支援と国際連携を考える―
本学医学部神経精神医学講座では、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの依頼を受け、ウクライナから来日した精神科医3名の研修を10月27日から31日の5日間、久留米大学病院で受け入れました。 本研修は、JICAが実施する対ウクライナ支援事業の一環として、ウクライナのメンタルヘルスケア体制強化を目的に行われているものです。
研修期間中は、大学病院内での臨床現場見学やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に関する講義などを通じて、戦争による精神的影響への対応や支援方法について学びを深めました。
また、27日には、旭町キャンパスにおいて「ウクライナ軍事侵攻後のメンタルヘルス―戦禍がもたらす心の課題と国際支援―」と題した講演会を開催。 ウクライナ国立イワノ・フランキウシク医科大学 精神医学講座のミハイロ・プストボイト教授を講師に迎え、「ロシア侵略開始後のウクライナにおける精神科患者の主な疾患と症状」という演題でご講演いただきました。
講演では、ウクライナ国内の精神的被害の実態や、医療従事者としての支援のあり方などについて具体的な事例を交えながら紹介され、参加した医療従事者や学生に参加者に、メンタルヘルス支援の重要性をあらためて実感させる講演となりました。
研修に参加したウクライナの医師は研修を振り返り、学びの意義と国際連携の大切さを強調しました。
本学は今後も、国際協力を通じて心の健康を支える医療の発展に貢献していくとともに、平和と人間の尊厳を守るための教育・研究を推進してまいります。
参加したウクライナ国立イワノ・フランキウシク医科大学 精神医学講座の医師の声
プストボイト教授:「久留米大学医学部は研究、臨床、スタッフ育成に力を入れていることは素晴らしいと思いました。久留米大学の先生方の心のこもった指導と滞在中のサポートに深く感謝しています。ここで得られた知見や気づきをウクライナの臨床現場で活かしていきたいと思っています」
サク准教授:「すべてのスタッフの連携の良さ、彼らの研究への貢献に感銘を受けました。また、多職種チームによるアプローチが印象に残りました。全ての患者には、精神科医、作業療法士、ソーシャルワーカー、その他の専門家が対応します。患者は一人きりになることはなく、あらゆるレベルで支援を受け、あらゆる面からサポートされるのは素晴らしいです。我々を温かく迎え、サポートしながらこの1週間を共に過ごしてくれた大江先生に心から感謝しています」
ブルデニー助教:「久留米大学病院は精神科の患者さんが治療とリハビリテーションが受けられる素晴らしい施設です。私は久留米市が好きになり、まるで自分の家にいるかのように感じました」