地域貢献のTOPICS 藍草から一貫生産を目指した「藍プロジェクト」で藍染体験

藍草から一貫生産を目指した「藍プロジェクト」で藍染体験

筑後産の藍草で作った天然染料である「久留米藍」を使った染め体験が、広川町の山村かすり工房で開かれ、「藍プロジェクト」に所属する4名の学生が参加しました。

これは、久留米絣を藍染の藍草から地元久留米で一貫生産しようと、本学の学生も加わり取り組んでいる藍プロジェクトでの動きで、学生らは、これまでキャンパス内に藍染の原料となる藍草を植えたり、藍の生産現場を視察するなどして関わってきました。今回は、久留米藍草生産者協同組合が筑後地域で栽培した藍草で製造した久留米藍を使って、プロジェクトメンバーの学生らが、白いハンカチに色をつけていきました。

山村代表から白いハンカチを受け取る学生
山村代表から白いハンカチを受け取る学生
指導を受けながらハンカチを甕(かめ)に浸け染めていく
指導を受けながらハンカチを甕(かめ)に浸け染めていく

久留米絣は、久留米市で生まれ当時12歳だったという「井上伝(いのうえでん)」という少女によって1800年頃に創案され今に伝わる織物で、綿織物では唯一、国の重要無形文化財に指定されている伝統的工芸品です。愛媛県の伊予絣、広島県の備後絣とともに日本三大絣として知られており、久留米絣は、その精巧に織られた美しさと藍染による藍色が特徴です。

その染料となる藍草は、当時久留米市でも多く生産されていましたが、化学染料の普及などの影響で生産が衰退し、天然染料は徳島県など他の地域のものが使われています。久留米絣が誕生した当時の、筑後地区で生産された藍草による天然染料を復活させようと、2021年12月に結成された久留米藍草生産者協同組合が生産した藍草を使った染料による貴重な染め体験となりました。

染始めの緑青色のハンカチ
染始めの緑青色のハンカチ
染の回数を重ね空気に触れさせることで鮮やかな青色に
染の回数を重ね空気に触れさせることで鮮やかな青色に

学生は、真っ白なハンカチを久留米藍の入った壺に4回に分けてハンカチを漬け、空気に触れさせることで、鮮やかな青に染まっていきました。久留米絣はこの染めの作業を幾度も繰り返し、濃い藍色に染まっていきます。

染まったハンカチを持つ学生
染まったハンカチを持つ学生
北海道で生産された染料となる蒅(すくも)
北海道で生産された染料となる蒅(すくも)

参加した学生からは、「色を染めるのは思ったより体力のいる作業で、最初に甕(かめ)から出したときには想像できない鮮やかな色に染まって感動した。これから実現する久留米藍を使った夢のある企画に参加でき、貴重な体験となった。今後もこのプロジェクトの力に少しでもなれたら」といった声が聞かれました。

工房の山村善昭代表は、「プロジェクトはスタートしたばかり。久留米藍の生産も通常のものより短期間で行ったもので、これから試行錯誤され、よい品質のものになっていくはず。長い目で育てていきたい」、藍草生産者協同組合の横溝哲郎代表理事は、「今後さらに改良を進め、もっと濃い色を出せるようにしていきたい」と期待を込め話されました。また、この取り組みに参加されている株式会社オカモト商店の野口英樹取締役からは、「今回参加された学生さんのように、同じ思いを持つ仲間を増やしながら取り組みを進めていきたい」と久留米藍に込めた思いが聞かれ、プロジェクトメンバーそれぞれの熱い思いがこもった藍染体験会となりました。

山村代表から藍染や久留米絣について説明を受ける学生
山村代表から藍染や久留米絣について説明を受ける学生
染め体験後に工房を見学
染め体験後に工房を見学
伝統的な織機の並ぶ工房の様子
伝統的な織機の並ぶ工房の様子
鮮やかな藍色に染められた反物
鮮やかな藍色に染められた反物

今後も本学では、地元の大切な伝統工芸品である久留米絣を守り、発展させる本プロジェクトを支援してまいります。