地域貢献のTOPICS 「誰もが安心・安全に暮らせる町づくり~共生社会を目指して~」開催(福岡県認知症医療センター久留米大学病院主催)

「誰もが安心・安全に暮らせる町づくり~共生社会を目指して~」開催(福岡県認知症医療センター久留米大学病院主催)

福岡県認知症医療センター久留米大学病院では、認知症の方やその家族が安心して暮らせるまちづくりを目指し、一人でも多くの方に認知症についての理解を深めていただくことを目的としたイベント「オレンジ健康フェスタ」を定期的に開催しています(福岡県医師会、久留米市、エーザイ株式会社共催)。

今年度は、6月14日に成立した認知症基本法を受け、「誰もが安心・安全に暮らせる町づくり~共生社会を目指して~」をテーマに、歳を重ねることに不安を感じられる皆さまが、これからもこの地域で安心して暮らしていただけるよう「楽しく参加して、実際に使える知識を身に付けよう!」をモットーに、講演に加え測定・体験、e-スポーツコーナーなども併設し楽しく学べるイベントとして、9/22にえーるピア久留米で開催されました。

さらに今回は、久留米市による「もっと知ろう認知症 ~映画上映会と講演会~」が同時開催され、上演会では、認知症の患者を抱えた家族の内側を描いた2018年公開のドキュメンタリー「ぼけますから、よろしくお願いします。」の続編として、認知症の母と老老介護する父の暮らしを記録した2022年公開のドキュメンタリー「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」が上演されました。特別講演では、本学高次脳疾患研究所 小路 純央 教授が「希望をもって楽しく暮らすための工夫」と題した講演を行い、多くの方にご参加いただきました。

誰もが安心・安全に暮らせる町づくり~共生社会を目指して~

基調講演「認知症を知り、地域での暮らしを支える」~疾患の理解と地域連携~

講師:大牟田市 中央地区地域包括支援センター管理者 上原 尚美 氏
座長:久留米市介護福祉サービス事業者協議会 事務局 三苫 洋介 氏 

基調講演では、認知症を正しく理解してもらうため認知症の種類や特長などを解説、認知症となられた方に周りがどう接するべきか、地域として何ができるかを、「認知症とともに安心して暮らせる地域を目指した」大牟田市の居場所づくりの事例などを交えてお話いただきました。 

講演する上原氏
講演する上原氏
会場の様子

特別企画「安心介護のためのお金・資産管理術」

講師:みらい安心コンサルティング 代表 村元 正明 氏
座長:福岡県認知症医療センター久留米大学病院センター長/ 久留米大学医学部神経精神医学講座 小曽根 基裕 教授

特別企画では、一般的な要介護期間やその期間にかかる費用、認知症となった場合の資産管理の課題などについてお話いただき、さまざまな課題を解決するためには、何より、親子・家族間での話し合いが糸口となることなどが伝えられました。

講演する村元氏
講演する村元氏
座長を務めた小曽根教授
座長を務めた小曽根教授

会場に設けられた測定・体験コーナーには、VR(バーチャル・リアリティ)機器による病気の疑似体験、理学療法士によるフレイルチェック・歩行速度・握力測定と相談会、 ブレパサイズ※などが用意され、血圧測定コーナーでは本学医学部看護学科の学生が支援しました。

※ブレパサイズ:ブレパサイズは、エーザイ株式会社が国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの島田裕之先生を監修に迎え開発した脳を活性化する運動プログラム。音楽に合わせて体を動かし、「じゃんけん」や「計算」などの知的課題を同時にこなすことで脳へ刺激を与える。(脳の活性化!運動+知的課題のブレパサイズ® | 相談e-65 (eisai.jp) より) 

VR機器による病気の症状の疑似体験(ゴーグルをつけてパーキンソン病、レビー小体型認知症の症状を体験)
VR機器による病気の症状の疑似体験(ゴーグルをつけてパーキンソン病、レビー小体型認知症の症状を体験)
理学療法士によるフレイルチェック相談コーナー
理学療法士によるフレイルチェック相談コーナー
ゲームによるe-スポーツ体験
ゲームによるe-スポーツ体験
本学看護学科の学生による血圧測定コーナー
本学看護学科の学生による血圧測定コーナー

もっと知ろう認知症 ~映画上映会と講演会~

映画上演会「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」

特別講演「希望をもって楽しく暮らすための工夫」

講師:久留米大学 高次脳疾患研究所 小路 純央 教授

上演会の様子
上演会の様子
講演する小路教授
講演する小路教授

同時開催された久留米市による「もっと知ろう認知症」の映画上演会「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」は満席となり、認知症への関心の高さが窺われました。映画の中での、認知症の家族を支える夫婦のやりとりに会場は温かい雰囲気に包まれ、涙する方もおられました。

その後の特別講演では、 久留米大学病院「もの忘れ外来」で認知症の方や介護家族を支え、高次脳疾患研究所でも「うつ病」「認知症」「統合失調症」など脳に関する研究を行っている小路教授が、「希望をもって楽しく暮らすための工夫」と題し、認知症医療の最前線からの「使える知識」を解説。

また、「健康寿命をいかに伸ばすか?」そのための生活習慣(メタボリックシンドロームやロコモ、フレイル対策としての運動や食事、良質な睡眠、お通じ、禁煙や飲酒は控えめ)や社会との交流、リタイア後でも新たな生き甲斐や目標を作ることの重要性などが伝えられました。

たとえ認知症になっても、本人や家族介護者に対して、地域の人々がどのようにかかわり地域で支えていくのか、さらには介護費用含めた老後の経済的な課題にも触れ、当事者や家族介護者の視点を考えた共生社会に向けて、どのようにあることが望ましいのかを、会場の皆さまとともに考え、イベントを総括しました。

チラシ

地域貢献TOPICS

TOPICS:「誰もが安心・安全に暮らせる町づくり~共生社会を目指して~」開催(福岡県認知症医療センター久留米大学病院主催)