地域貢献のTOPICS 久留米大学医療センターが市民公開講座を開催
今年7月に開設30周年を迎える久留米大学医療センターが、3月2日(土)に市民公開講座を開催しました。
久留米大学医療センターは、1994年に旧厚生省から国立久留米病院の移譲を受けて開設し、これまで地域に根ざした医療を行ってまいりました。現在では、整形外科・関節外科センターやリハビリテーションセンター、先進漢方治療センター、糖尿病センターといった大学病院とは差別化した診療科を揃え、「心が通い、信頼される医療」を目指し地域に根ざした診療を行っています。
その他にも、症状が続いているのに診断がついていない、複数の複雑な問題を抱えている、等のさまざまな理由でどの科を受診したらよいか良いかわからないといった患者さんの診療を行う総合診療科や、内科的・外科的な診療科にとらわれない横断的な診療センターであるプライマリ・地域医療ヘルスケアセンターなど、幅広い症状に対応できる体制を整えているのも特徴です。
市民公開講座は、地域住民の皆さまの健康維持を目的に開催しております。今回は、対面とオンライン配信のハイブリッド方式で開催となり、多数の方にご参加いただきました。
病院長挨拶
開会挨拶において、病院長である惠紙英昭教授は、医療センターの沿革を紹介し、「自分や家族が治療を受けたいと思う治療環境の構築」に注力していることを、自身の入院経験を交えながら紹介しました。また、地域の皆様の健康増進のために、新しい医療情報の提供の場として市民向けの公開講座を継続して開催していくことも伝えられました。
【講演】「どんな時に泌尿器科にかかればいいの?~泌尿器科の病気の話~」泌尿器科 末金茂高 准教授
泌尿器科の末金茂高准教授の講演は「どんな時に泌尿器科にかかればいいの?~泌尿器科の病気の話~」というタイトルで、泌尿器科で扱っているさまざまな病気のことや、生理現象である排尿トラブルなどについて、わかりやすく説明し、生活で改善できる方法や、医学の進歩に伴う治療法の変遷などについて紹介しました。
【講演】「足の血管ボコボコ(静脈瘤)を放っておいても大丈夫?~下肢静脈瘤の都市伝説を紐解く~」フットケア・下肢血管病センター 廣松伸一 教授
副院長でフットケア・下肢血管病センターの廣松伸一教授は「足の血管ボコボコ(静脈瘤)を放っておいても大丈夫?~下肢静脈瘤の都市伝説を紐解く~」という講演タイトルで、下肢静脈瘤が血栓症とよく混同されることについて、静脈などの基本的な働きや、新しい治療法などを紹介し、適切に理解をすればそんなに怖いものではないということが伝えられました。
どちらの講演も聴講者から活発に質問の手が上がり、市民の健康への関心の高さがうかがえました。
看護部・久留米大学文学部情報社会学科ほとめきプロジェクト「もったいないをおしゃれに変身!」
講演終了後には、「もったいないをおしゃれに変身! ~簡単に楽しく尿パックカバーを作ろう~」というタイトルで、看護部の白濱主任看護師と原﨑看護部長が、久留米大学文学部情報社会学科3年生と協働で進めているほとめきプロジェクトの取組みが紹介されました。学生たちは、尿パックカバーの作り方動画を作成しオンデマンドで参加しました。
文学部情報社会学科では、医学部を持つ久留米大学の強みを生かして、医療センターと連携した課題解決型授業「ほとめきプロジェクト実習演習」(江藤智佐子教授担当)を2018年度から行っており、例年医療センターの課題解決に取り組んでいます。
その中で「尿パックをむき出しで使用するのは恥ずかしい、しかし尿パックカバーを既製品で購入すると高い」という課題が挙がっていました。この課題に対し学生たちは、SDGsの観点から使わなくなった衣類などを使って患者さん自身が楽しく自作できる簡単でおしゃれなカバーの制作を提案し、看護部と一緒に約8か月試行錯誤を繰り返しました。試作品を作るたびに現場の看護師の皆さんにも意見を伺い、そのたびに改良を重ね、安価で誰でも作りやすい方法を模索しながら、今回のプレゼンにつながりました。作り方動画も今後地域で使いやすいようにリバイスしていく予定です。
参加者からは「簡単にできそうでいいアイデアだった」「着ない衣類を再利用できるのがいい」といった感想が聞かれました。
最後に、副院長の廣松伸一教授が「今後もこのような市民公開講座や診療を通じて皆さまの健康に貢献していきたい」と挨拶し閉会しました。