基礎系講座

  • 解剖学講座肉眼・臨床解剖部門

    研究について

    特に本部門では、血管系の肉眼解剖学的研究を中心とし、系統解剖学実習中に発見された変異例の解析や実験動物において発生学的に各種器官の血管形成過程の解析等を行っています。中でも鎖骨下動脈や内腸骨動脈の研究は長年にわたる実績があります。さらには所属スタッフ個別のテーマとして運動器の形態学、脳下垂体の形態形成、鼻涙管、唾液腺、咀嚼筋等の肉眼および臨床解剖学的研究を実施しています。

    教育について

    本部門では、医学の基礎である人体解剖学の講義と実習を大学および大学院を対象として行っています。医学科および看護学科第1学年においては人体の基本構造についての講義を実施し、続く第2学年時には御献体によりお預かりした貴重な御遺体を対象とした人体系統解剖学実習を行っています。またこれら実習と講義の中では、御献体登録者の方々が所属する「りんどう会」の総会への参加や御遺体慰霊祭への参加も行い、医療人としての自覚を促し、生命の尊厳、医の倫理についての考えを深めます。

  • 解剖学講座顕微解剖・生体形成部門

    研究について

    発生学、内分泌学、分子生物学をキーワードに、生殖に関わる様々な組織の形成過程を解明すべく、形態と機能の両面から解析をおこなっています。特に、これらの組織に共通して発現する核内受容体型の転写因子に着目し、遺伝子発現制御という視点から細胞レベル、分子レベルで組織形成プロセスを解明することを目指しています。同時に、先端イメージング研究センターと連携し、共焦点レーザー顕微鏡や電子顕微鏡を用いた微細構造の解析を行い、細胞の機能と構造を関連づけて理解することを目指しています。

    教育について

    正常人体の形態全般(細胞学・組織学・解剖学)にわたる講義・実習を担当しています。医学科第1学年前期の「医学入門実習」、後期の「組織学実習」「人体の構築I(内臓機能)」、そして第2学年前期の「神経科学(生理学講座と連携)」「個体の発生」を担当しています。さらに、第3学年RMCPを通じて、学生のリサーチマインド開拓を目指しています。大学院教育は修士・博士課程ともに講義を担当しています。

  • 生理学講座脳・神経機能部門

    研究について

    中枢神経系(脳・脊髄)の機能はまだ分からない事が多く、その意味では、中枢神経系は人類に残された最後の開拓地かも知れません。私たちは脳機能に興味を持つ者が集まって、電気生理学的、生化学的、および分子生物学的手法を用いて以下に掲げる主な研究課題について日夜研究を続けています。

    • 虚血性神経細胞死の発生機序の探求と治療法の検索
    • 大脳前頭前皮質に対するドーパミンの作用と統合失調症との関係
    • 神経細胞とグリア細胞間の相互作用

    教育について

    大学における成人教育では、学生自ら不思議だと思った事、将来必要で大事だと思ったことを自ら学び取れるように私たち講師陣が支援して参ります。現在、医学部学生には生理学全般(腎、肺、血液、内分泌、および中枢神経機能)の講義と実習を行っています。大学院生には高次脳機能と電気生理学的手法の講義と実習を行っており、当部門の大学院生には実験計画立案、実施、結果検討および論文執筆まで一人行えるようman to manで指導して参ります。

  • 生理学講座統合自律機能部門

    研究について

    当部門では、イオンチャネルを対象として、心臓循環器系では不整脈の分子機構、中枢神経系では神経障害性疼痛の分子機構や自発発火ニューロンによる情報処理機構について研究をおこなっています。遺伝子改変動物を積極的に導入し、教室伝統の電気生理学にとどまらず、オプトジェネティクスやイメージング、転写因子レベルでの分子生物学を駆使した最先端の研究を展開しています。

    教育について

    脳・神経機能部門と密接に連携をとりつつ、生理学全般の学生教育を担当しています。生理学は単なる丸暗記ではなく、「考えて理解する」要素が多いため、実習を重視しています。大学院では単に学位を取得するだけではなく、将来研究者として自立できる能力を養うことをめざしています。

  • 医化学講座

    研究について

    本講座では、金属酵素を研究の対象としており、特に、ヘム代謝系の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼと、ペプチドホルモンの生合成に与るペプチドC末端アミド化酵素について、組換タンパクの発現や部位特異的変異の導入などの遺伝子工学的手法に加え、X線結晶構造解析や電子スピン共鳴(ESR)を中心とした分光学的解析、厳密な嫌気実験やストップトフローによる速度論的解析など、多くの生化学的、物理化学的手法を用いて、当該酵素の反応機構と生理的意義の解明に取り組んでいます。

    教育について

    生化学とその関連領域の学問は、急速な進歩を続けており、多くの生命現象が生化学的に説明されるようになりました。それに伴い、医学、医療の現場にも新しい知識や技術が導入されています。こういった医学領域における生化学の新知見に対応できるよう、講義と実習を通して、生体の構成物質の化学とその代謝および調節についての基礎を学び、生命現象のメカニズムとその病態を分子レベルで考察する力を養い、将来の臨床医、医化学研究者及び教育者としての基盤づくりを行っています。

  • 薬理学講座

    研究について

    中枢神経の機能、特に神経伝達物質を介した神経機能調節メカニズムに関する研究を行っています。神経薬理、神経化学および行動薬理学の手法に加え、免疫組織化学、分子細胞生物学の手法を用いて研究に取り組んでいます。主な研究プロジェクトは、ドーパミン神経伝達、神経再生、薬物依存に関する研究およびマイクロダイアリシスを用いた中枢神経ネットワーク解析です。中枢神経薬理に興味のある大学院生を募集しています。

    教育について

    薬理学は難しいという学生諸君の話をよく耳にしますが、この薬はなぜ効くのか、なぜ副作用が現れるのかなど薬物治療の本質を追求してみると、これほど面白い学問はありません。単に薬の名前や作用を丸暗記するのではなく、薬の作用をヒトの体、臓器、細胞、分子レベルで考えてみましょう。薬理の研究は日々進んでいます。次々と新しい発見に遭遇できる薬理の勉強を楽しみましょう。

  • 病理学講座(旧1病理)

    研究について

    病理学講座は、1998年に第一講座と第二講座が統合されましたが、研究体制は独自性を維持しております。旧第一講座では、肝臓病理を研究主題とし、生検組織、外科切除組織、剖検組織を用いた肝腫瘍、肝結節性病変、肝炎、肝血流異常などの病理形態学的研究、肝癌組織や培養肝癌細胞株と免疫組織化学的・生化学的・分子生物学的手法を用いた肝癌の実験病理・分子病理的研究を行っていますが、もちろん、肝病理の研究の他、学内外で膵臓、乳腺、婦人科、泌尿器科病理などの研究も熱心に行っています。

    教育について

    病理学講座では、卒前教育については、第1学年の医学入門実習、選択制セミナー、第2学年の原因と病態(1)、第3学年の原因と病態(2)(実習を含む)、第4学年の臨床実習開始前総括講義、第5学年のクリニカルクラークシップ、第6学年の卒前医学教育総括講義など、全ての学年の教育に関与していますが、学年に応じた最適な病理学の教育を行っています。卒後教育については、病院病理部での前期及び後期研修医の研修に協力しております。また、病理学的研究により医学博士の学位取得を目指す大学院博士課程の学生の教育・指導にも熱心に取り組んでいます。

  • 病理学講座(旧2病理)

    研究について

    教室の病理診断・研究の分野の主体は、血液病理、脳神経病理で、さらに、血管、炎症、免疫、腫瘍一般と多岐に渡っています。診断の例を挙げると、悪性リンパ腫は、全国より、コンサルト依頼が来ています。研究の例では、レーザーにより、病変だけを抽出し、マイクロアレー解析によって得た遺伝子発現プロファイルデータの綿密なバイオインフォマティクス解析を通じ、炎症や腫瘍の個性の描出や、局所の腫瘍免疫の解析を通して、テーラーメイド医療の実現につながる成果をあげるための研究を行っています。

    教育について

    本教室では卒前教育として2,3年生の病理学総論および各論(循環器、血液、消化器、神経、軟部腫瘍など)の講義、病理学実習及び5年生でのクリニカルクラークシップを担当しています。卒後教育の中心は大学院です。現在、4名が大学院在学中です。また本教室では卒後教育の一環として病理の専門医を目指す人のための教育カリキュラムが用意されており、日本病理学会専門医および日本臨床細胞学会専門医の資格取得が可能です。

  • 感染医学講座基礎感染医学部門

    研究について

    臨床の現場では、薬剤耐性菌の出現により感染症治療、病棟管理等において種々の問題に直面しています。私たちの研究室では、細菌感染症における微生物とヒトの相互作用について分子レベルを基盤として理解に努め、抗生物質に依存しない有効な感染症治療手段および感染症予防法等を模索しています。近年、研究対象として、マイコプラズマと宿主(ヒト)の免疫応答、および緑膿菌の産生するプロテアーゼの病原性等について精力的に研究を行っており、その成果を国際的ジャーナルへ発表しています。さらに、興味ある方は、教室のホームページ、あるいは研究者紹介をご参照下さい。

    教育について

    教育では、医学科の第2学年の学生へ「生体と微生物環境」科目の中で、細菌学の講義、および実習を担当しています。医学科の講義であることを念頭に置き、ヒトの感染症の病態理解、診断、治療等を中心に講義をしています。また、博士、修士課程の大学院生に対して、学習したことを実践の臨床現場へ還元できるよう、感染症例を中心に講義、演習等を行います。さらに、学位取得のため、基本的に教室で取り組んでいる研究課題を中心に、実験、および論文作成指導等をします。大学院へ興味ある学生さんは、是非とも教室のホームページ、あるいは研究者紹介をご参照下さい。

  • 感染医学講座(旧寄生虫学講座)真核微生物学部門

    研究について

    ヒトには、感染しないモデルトリパノソーマ原虫を用い、遺伝子の破壊、導入などの手法を用い原虫のヒトとは異なったシグナル伝達経路を模索し、それと多少類似するヒトのシグナル伝達経路阻害剤のトリパノソーマ原虫への効果を検討しています。さらに、ヒトのタンパクがトリパノソーマ原虫で、どのような機能をしているかということを調べています。トリパノソーマ原虫は最古の真核生物であるとされており、そのシグナル伝達様式はヒトとあまりにも異なっていためモデル生物とはならない、といわれていますが、我々はあえて、それに挑戦しています。

    教育について

    • 学生さんはお客様だと思い講義につとめます。
    • 臨床医を育てる教育をします。学生さんの多くはよき臨床医を目指しています。まず、問診、視診、触診、打診などが、CT, エコーなどより先にすることであることを、どの寄生虫疾患を教えるときにも強調しています。
    • 病態生理を中心に講義をします。寄生虫疾患は重要であるにも関わらず国試にあまり出題されないとされていますが、私たちの講座では、他の分野でも役立つ病態生理を中心に講義をしています。
  • 免疫学講座

    研究について

    2014年2月、米国ハーバード大学より溝口充志が久留米大学医学部免疫学講座の主任教授に着任しました。当講座では、「おなかの健康免疫」をメインテーマとし、遺伝子操作マウス等を駆使した様々な基礎研究を実施しています。今後、基礎研究成果を臨床に直結させ、消化器疾患をはじめとする種々の疾患の未だ不明な原因メカニズムを究明し、それら疾患の根治治療を目指すための橋渡し免疫学「トランスレーショナルイムノロジー」を実践していきたいと考えています。

    教育について

    医学部ならびに臨床検査専門学校等における「免疫学講義」ならびに「免疫学実習」をはじめ、各種セミナーや大学院教育等にも積極的に取り組んでいます。特に「和」の精神を尊重し、グローバルに活躍する医療スペシャリスト・研究スペシャリストの育成には力を入れており、ハーバード大学をはじめとする海外教育研究機関との研究交流も積極的に進めています。

  • 環境医学講座

    環境医学講座は2002年4月に、それまでの講座名であった「環境衛生学」を改めて新たにスタートしました。講座のモットーは1)自由な気風を大切にする、2)外部との交流を積極的に進める、3)社会貢献に寄与する、ことです。

    研究について

    研究分野は産業医学、環境医学、地域保健・医療の三分野。産業医学では、本講座に連綿と続く伝統的な研究テーマである振動病(職業性疾病)について、病態生理に関する基礎的研究から診断治療の臨床研究まで幅広く行っています。また、小規模事業場の産業保健の向上のために、現場の作業環境の改善に焦点を当てたフィールド研究を重視している。環境医学では、大学病院の「環境病」外来を活用して、シックハウス症候群、化学物質過敏症の病態生理、診断、治療に関する研究を行っています。地域保健分野では失業の労働者に及ぼす健康影響に関するフィールド研究や行政施策の健康影響評価(Health Impact Assessment)に関する研究を行っています。

    教育について

    教育面では2005年度より公衆衛生学講座と連携して、従来別々に行っていた講義を「医学・医療と社会」の教科名で、モデル・コアカリキュラムに準拠したカリキュラムを実践しています。また、「社会医学実習」ではスモールグループによるテーマ研究を組み込み、社会医学・医療に関連したテーマについて自己学習を行い、学生へのPublic Health Mindの育成に努めています。

  • 公衆衛生学講座

    研究について

    診療報酬明細書(レセプト)を代表とする、保健医療福祉領域のビッグデータ分析を中心に取り組んでいます。20年以上前からレセプト分析を行っている経験を活かし、市町村国民健康保険、健康保険組合、後期高齢者医療制度広域連合など様々な保険者と協働しています。具体的には、地域・職域における健康づくり活動のエビデンス構築や、「国民医療費」・「患者調査」などの厚生労働省所管の統計調査の精度向上に関する研究などを行っています。

    教育について

    学部教育においては、疫学、社会保障制度論、行動科学を主に担当しています。医学部医学科においては、人口動態統計、患者調査、社会医療診療行為別統計等の関連統計を活用した医療機関経営シミュレーション実習を通して、保健医療福祉の各種制度や医師法・医療法などの関連法規に関する参加型学習を推進しています。大学院では、因果推論や傾向スコアなどのビッグデータ分析に関する基礎理論の学習とレセプト分析等のリアルワールドデータを用いた研究指導を行っています。

  • 法医学講座

    研究について

    当講座ではDNA配列の個人差である遺伝子多型(たけい)の研究、具体的には、

    • ハプトグロビン欠損症などの輸血副作用原因遺伝子の同定とスクリーニング法の開発
    • 血液型合成に関与する糖転移酵素遺伝子及び皮膚色等の形態差に関与する遺伝子の多型及び機能解析
    • 自然選択標的遺伝子及び疾患感受性候補遺伝子の同定と多型解析
    • これらの遺伝子多型を用いた過去の人口移動、人口構造、人口動態の推定、などをおこなっています。

    教育について

    法医学は医学的解明助言を必要とする法律上の案件、事項について、科学的で公正な医学的判断を下すことによって、個人の基本的人権の擁護、社会の安全、福祉の維持に寄与することを目的とする医学です。当講座では一般医が遭遇する機会の多い案件に関し法医学的基礎を学び、自ら処理可能か法医専門家に委ねるべきかの判断能力、医師・患者間の関係を支える基本原則、患者・被検者の保護法益についての認識、一般医に必要な血液型、人類遺伝学に関する素養を教育します。

  • 自然科学 物理学教室

    研究について

    物理学を各自の専門に応用した研究を行っています。大きな3つの柱は、惑星天文学、超伝導、物理学教育に関する調査研究です。惑星天文学では、系外惑星や太陽系小天体の起源、星形成、恒星進化、原始惑星系円盤の進化、ガス惑星の熱的進化、惑星の軌道進化に関する数値計算を用いた理論的研究を行っています。例えば、人が住める惑星は、宇宙においてどの程度普通なのでしょうか?生命に必須の水はどのように地球にもたらされたのでしょうか?こうした問いに対して、コンピューターシミュレーションからアプローチしています。超伝導の研究では、超伝導体薄膜の作製とその物性評価、超伝導体の物性研究をテーマとして扱っています。

    教育について

    自然科学は、「なぜか」を問い、その理由を「誰にとっても真理」となるように説明する学問です。その中でも物理学は、生命を含むあらゆる自然現象の基礎原理を支える学問となっています。血流、レンズとしての目の機能、MRI、心電図、AED、X線、放射線など、人体の機能や医療で使われる機器に関係する諸現象の基礎的な理解はもちろん、現代の先端的な医療の推進においても、物理学は欠かせません。

    知識は古くなって使えなくことがありますが、基礎的物理法則を学習・理解することによって培われた思考力や応用力が揺らぐことはありません。専門科目を学ぶ上で必要な基礎を習得すること。たくさんのデータの中から本質を見極める力、見出した事柄を科学的・論理的に表現する力を養うこと。これが物理学教室が医学部初年度の学生向けに行っている物理学の講義や実習の目標となっています。

  • 自然科学 化学教室

    研究について

    本教室では、標的分子と特異的かつ強固に結合する「アプタマー」を研究材料として、糖尿病性血管合併症の原因物質である糖鎖タンパク質や、これまでに特異的抗体が得られていない細菌毒素、ウイルスに対してのスクリーニングを試み、化学的修飾法や、ペプチド合成などの有機合成に加え、共鳴プラズモン共鳴法や質量分析法などの分光学的手法を利用して、新規診断薬、治療薬への応用を検討しています。

    教育について

    医学において、人の正常な活動や疾病の理解には、身体を構成する物質とその反応を知ることが不可欠です。また、医薬品の開発や作用の説明は化学構造によっており、生化学、生理学、薬理学、栄養学などは化学と直接的な関係を持っています。ここでは、物理化学と有機化学を主体にした講義と体験的に学ぶ実習を通して、化学的なものの見方、考え方を養い、医学専門科目を学ぶ上での基盤作りを行っています。

  • 自然科学 生物学教室

    研究について

    生物学教室は現在スタッフ2名という小さな陣容であり、生物学に関わる広大な研究領域、研究手段をカバーすることは不可能ですが、限られた領域であっても特色ある着眼点を持つ研究を推進していくことで科学の発展に貢献していきたいと思っています。平成20年度から新たに大沼がスタッフとして加わり細胞生物学的手法を用いた動物の進化過程での血液細胞の分化メカニズムの変遷についての研究を行っていくほか、昆虫生理学、環境生態学の分野での研究を行っています。また分子生物学・細胞生物学・生化学の知識・手技の提供を通じて学内外の研究者と広く生命現象を対象とした共同研究も計画・推進しております。

    教育について

    「生命とは何か」を問う学問である生物学は、様々な技術の進歩と相俟って生命科学として大きな発展を遂げつつあり、その基本的概念や知識の修得は、医学を学ぶ基盤として必要不可欠なものとなっています。1年次の生物学では、特に細胞生物学、分子生物学、発生生物学などの分野の知識を習得し、広く比較生物学的観点からヒトの特徴を考え,個体と集団および生態系の維持・調節の仕組みを学んで行きます。また重要な生命現象に焦点をあてそのしくみを解き明かしていけるような科学的思考力を育成することで、基礎・臨床医学の教育にスムーズに繋げていけるような教育指導を目指しています。

  • 寄附講座糖尿病性血管合併症病態・治療学講座

    研究について

    糖尿病は、慢性の高血糖がひきおこされる代謝疾患群です。しかし、糖尿病は合併症の点から心血管病であるともいえます。本講座の研究課題は、まさに'糖尿病大小血管合併症の発症、進展の分子機構を明らかにし、それを阻止すること'にあります。具体的には、終末糖化産物(AGEs)とその受容体であるRAGEを中心に、抗酸化の観点から血管合併症阻止に向けて日々挑戦を続けています。さらに、抗酸化機能を持つ色素上皮由来因子(PEDF)の多面的な作用にも着目し、多岐にわたる疾患を対象に広く研究を展開しています。

    教育について

    糖尿病という疾患を通して広く内科学全般を俯瞰できる様、医学教育に携わっていきたいと考えています。さらに、臨床医として必須な基礎的医学知識を講義することはもちろんのこと、学術的興味を喚起するトピックスについても随時授業に取り入れ、医学者としての芽も若いうちから育てていきたいとも思っています。また、患者さん、看護師、糖尿病非専門医に対しても、血管合併症について広く啓蒙・教育していくことも当講座の責務と考えています。

  • 寄附講座地域医療連携講座

    診療・研究について

    1958年に始まった世界七ヵ国共同研究(The Seven Countries Study) の日本におけるコホートである、久留米市田主丸町での一般住民の検診データを用いた疫学研究(The Tanusimaru Study)と2002年に始まった佐世保市宇久町での循環器ボランテイア検診を中心に一般住民検診で得られたデータを基に、循環器疾患、生活習慣病だけでなく、運動と栄養、老年病、悪性腫瘍などとその危険因子の検討を行っています。また、地域医療に貢献するため、検診結果の早期還元、受診指導などを行っており、地域に密着した研究を目指しています。

    教育について

    2011年4月より第1学年から第3学年の「医療科学」の講義の中に地域医療の講義を行い、系統だて地域医療を分かり易く教えるカリキュラムを作りました。2012年には、第4学年にも地域医療の講義を行います。また、久留米大学医学部に「地域医療学」、「福岡県枠」で入学する学生へのシステム作り、コンサルタントとしての支援も行って参ります。

臨床系講座

  • 内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門

    研究について

    当教室は、内科学講座の中では多彩で、呼吸器内科学、神経内科学および膠原病内科学を中心に研究を行なっています。呼吸器内科では、喘息、COPDや間質性肺炎の病態解明や新薬の効果判定および肺癌の新規治療法の開発を、神経内科では、脳機能画像(MRI, PET)によるパーキンソン病や小脳変性症の病態解明や家族性神経疾患の遺伝子解析を、膠原病内科は、関節リウマチやSLEの臨床研究を行っています。また、感染症ではHIV感染症やAIDSの診療もしています。

    教育について

    呼吸器・神経・膠原病内科は、内科認定医および専門医修得を基本とし、呼吸器内科、神経内科およびリウマチ専門医修得および指導医への教育を行っています。呼吸器内科、神経内科および膠原病専門医の数は、内科医の中では少ないが故に、地域から非常に望まれている分野であります。また、当教室は、久留米大学医学部が設立された当初から第一内科としてプライマリケア医(Generalist)への教育も行い、地域医療に貢献できる医師の育成に力を注いでいます。

  • 内科学講座消化器内科部門

    研究について

    大きく2つのグループに分かれています。

    肝臓グループは、ウイルス性肝炎をはじめ様々な肝障害や肝癌に対する臨床的研究と、ウイルス、細胞内小器官、遺伝子、タンパク質機能、肝再生や肝癌抑制・転移などの基礎的研究を行っています。

    消化管グループは、上・下部の腫瘍、門脈圧亢進症、炎症性腸疾患(IBD)、胆膵疾患に分かれ、最新の器具を用いた診断・治療を行っています。IBDでは腸炎モデルを作製し基礎的研究や新しい治療薬の治験を行っています。

    基礎的な分野ではグループに関係なく、いずれも臨床と直結した研究を行っています。

    教育について

    当科では教育にも力を注いでいます。

    後期臨床研修医は肝臓グループと消化管・胆膵グループの2班にわかれ、高度救命救急センターも含めローテーションを行います。多くの患者を受け持ち、1年間をかけて、各グループでの専門的な診断・治療の知識や手技を習得します。前期臨床研修医はグループに関係なく様々な患者を受け持ち基礎的な知識と手技を学びます。クリニカルクラークシップの学生(医学部5年)は後期研修医とともに、指導医のもとで、より基本な臨床力を身につけます。2週に1回症例検討会を行っており、臨床力を確認することになります。

    いずれも、基本的なことからより専門的なことまで自然と臨床力が身に付くように週間カリキュラムを構築しています。

  • 内科学講座心臓・血管内科部門

    研究について

    当講座は1958年に開講して以来50年の歴史があり、循環器分野を中心に研究を行ってきました。現在、基礎系では血管新生、心筋症・心肥大、糖尿病、血管・遺伝子、臨床系では冠循環、不整脈、疫学、画像診断、救急、高血圧の計10班に分かれ研究を進めています。特に基礎部門は併設された循環器病研究所において先端医療の基礎研究を行い、臨床部門の豊富な症例を活かし新たな治療法の開発に邁進しています。血管新生療法では厚労省から高度先進医療の保健適応の許可も頂きました。

    教育について

    当教室は、循環器内科学を中心に全身を診ることを得意とした臨床内科医の育成と学位取得を教育目標にしています。認定内科医を取得後、卒後7年で循環器専門医を取得します。特に専門性の高いインターベンションや不整脈アブレーションなど観血的な治療技術のトレーニングも可能で、のちにサブスペシャリストとして専門医も目指します。その他、生活習慣病や救急医療まで幅広く網羅しており、様々な専門医取得のための教育をサポートします。大学病院としては国内有数規模で多くの症例が経験でき、豊富なスタッフが手厚い指導します(医局員数147名)。また、同時に学位取得の教育にも力をいれており、殆どの医局員が医学博士号を目指し研究します。また海外留学も盛んです。

  • 内科学講座内分泌代謝内科部門

    研究について

    当科では糖尿病・肥満症などの代謝疾患や,バセドウ病などの内分泌疾患の発症機序解明と治療法開発を目指した研究を進めています。遺伝子解析の多施設研究に参加し,当科研究室でもDNA解析を行っています。糖尿病については人工膵臓や血糖持続測定器を駆使した臨床研究と,遺伝子導入マウスを用いた基礎的研究が進行中です。バセドウ病については,新たな自己抗体による眼症診断法の開発と,治療法の検討を進めています。

    教育について

    糖尿病学会、内分泌学会の認定教育施設として、指導医の下で専門医を目指した研修・教育を受けられます。負荷試験,画像診断,超音波検査,生検など内分泌代謝疾患の診断手技と治療法を研鑽するほか,セミナーやレクチャーなど充実したカリキュラムを通じて,最新の知識と臨床能力を養うことができます。また,学外の学会・研究会に積極的に参加し,発表できるように指導しています。

  • 内科学講座腎臓内科部門

    研究について

    研究は(1)慢性腎臓病(CKD)の進展機序の解明、(2)CKDで多発する心血管病(CVD)の発症機序の解明とその予防法の確立、(3)糖尿病性腎症の発症進展機序のメカニズム解明とその阻止を大きなテーマとしています。腎炎、腎不全患者の臨床研究とともに、糖尿病モデルマウス、種々の遺伝子改変マウスを使用することにより、新たな知見を見出し、さらに腎臓細胞の培養実験にて詳細なメカニズムを探求します。毎年国際学会に発表し、成果を挙げています。

    教育について

    病棟では、病棟医長、指導医が直接研修医の教育に当たります。教育内容は、内科的診察、検査やデータの評価、腎生検、腎病理組織診断、輸液管理、電解質異常の是正、急性、慢性腎不全の治療、シャント造設術、シャント血管拡張術の修得等、多岐に渡ります。カンファランスでは、教授をはじめ多くの腎臓専門医の意見を学びます。さらに週1回の腎臓セミナーにて腎臓病の基本を修得します。腎センターでは、血液透析療法、腹膜透析療法、血漿交換、アフェレーシスの実際、シャント穿刺、body tube挿入や透析患者の管理を学びます。透析カンファランスにて問題点を明らかにし、より良い治療を目指します。

  • 内科学講座血液・腫瘍内科部門

    研究について

    白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍に対して、副作用が少なくより成績のよい治療法の開発、治療合併症対策法の開発、予後関連因子の同定と新たな治療戦略の開発などの臨床研究、および腫瘍細胞増殖機序やその制御機構などを腫瘍細胞の培養系を用いた解析による基礎研究を行っています。血小板減少、血小板機能異常症および血液凝固因子異常による止血系異常症の病態解析、診断と治療の研究。

    教育について

    学生教育は、医学部3年生からの内科系統合講義の一貫としてはじまり、5年生および6年生にはクリニカルクラークシップとして、病棟で直に患者さんを診て血液疾患(貧血・白血病・リンパ腫・骨髄腫・血小板減少症など)の診断および治療について学びます。外来実習では、血液新患について病歴・理学所見・一般検査を見た上でprimary careを学びます。また、末梢血液検査・骨髄穿刺・止血系検査の意義を理解して診断できるように訓練します。

  • 小児科学講座

    研究について

    全国でもいち早くPOSシステムを導入し(1974年より)、ベッドサイド学生教育にクラークシップを取り入れるなど"教育には情熱をもって"をモットーに実践しております。病棟では卒前、卒後教育を一体化し、通称"屋根瓦方式"のもと、学生も研究医も専門医や指導医を上級医としたチーム医療の一員として医療に参加します。開業小児科医院でのクリニック実習、毎週金曜日夕方のGrand Rounds、小児科医の臨床復帰のためのブラッシュアップセミナー(今年で4回目)など多彩なプログラムを用意し、入局3年目までに質量ともに豊富な症例研修を終了し、小児科認定医資格申請を可能にしています。

    教育について

    診療・研究は14の専門グループ(1.神経、2.循環器、3. 遺伝・代謝、4. ミトコンドリア、5.新生児、6.救急、7.血液・腫瘍、8.腎臓、9.内分泌、10.肝臓・消化器、11.感染症、12.免疫・膠原病、13.アレルギー・呼吸器、14.心身症、)があり、多様化する疾患体系に対応できるシステムをそなえております。 "研究はクリエイテイブに"をモットーに、子どもの睡眠をテーマとしたコホート研究、ミトコンドリア脳筋症に対するL-アルギニン製剤の医師主導治験やADHD患児に対する夏期集中治療プログラム、カテーテルインターベンションなど臨床と直結した研究も盛んに行われています。

  • 放射線医学講座

    研究について

    診療と並び、研究と教育は大学病院に科せられた重要な責務と考えています。放射線治療分野においては、非切除例の治療成績の向上を目指した臨床的研究を主体とし、加えて細胞レベル、分子レベルの基礎的研究も行っております。放射線診断分野においては、三次元画像をはじめとする再処理画像の作成や,造影MRIやPETを用いた機能的評価に関する研究や分子病理学的研究など、先進的な研究を精力的に行っております。

    教育について

    当科の日本医学放射線学会専門医数は、日本の大学の中でもトップクラスで充実した環境のなかで質の高い医学教育が実践されております。さらに「日本放射線腫瘍学会認定医」など各専門領域の専門医、指導医、認定医の資格をそれぞれが持っており、どの分野を選択されてもマンツーマン体制で高い専門性を有した教育を受けることができます。平日の夕方は専門医が講師となって、イブニングセミナーと称する講義をほぼ毎日行っており、次世代を担う若手医師の教育に力をいれております。

  • 神経精神医学講座

    研究について

    当科における研究は多岐に渡っています。1)睡眠研究班による睡眠障害の基礎、臨床に関する研究、2)精神生理研究班による統合失調症、認知症の精神生理学的研究、3)精神病理研究班による社会精神医学、トラウマの臨床に関する研究、4)てんかん研究班によるてんかん、てんかん性精神病の臨床と病態に関する研究、5)生化学研究班による精神疾患の神経化学的基礎研究、などを主軸として活発に活動しています。

    教育について

    精神疾患の正しい理解と対応について、脳の機能からこころに臨床に繋がる広い視点から教育を行います。教育の場は、平成11年に他大学に先駆けて運営が開始された急性期治療病棟が主ですが、久留米大学病院の全受診患者数の一割を引き受ける外来、S63年より運営を続けるデイケア、S58年より続く久留米大学病院全病床のリエゾン回診、カウンセリングセンター等も含め、急性期から慢性期のリハビリ、一般臨床における精神科的問題まで、多角的な臨床教育の場を学生さんから後期研修医の先生まで提供します。

  • 皮膚科学講座

    研究について

    久留米大学医学部皮膚科学講座の研究課題は、自己免疫性水疱症の免疫学的・生化学的研究、表皮ケラチノサイトの生物学的・生化学的研究、遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子の研究、皮膚における免疫機構の研究が行われています。そのほかに、毛髪科学の研究、皮膚病理学の研究、皮膚の電子顕微鏡学的研究、皮膚アレルギーの研究が行われています。

    教育について

    久留米大学医学部皮膚科学講座の教育としては、皮膚科領域の幅広い臨床力を身につけ、皮膚科診療においての適切な診断・治療・安全管理や診療態度を身につけることを目標とし、日本皮膚科学会認定専門医取得に足る実力を養成します。月曜の午前に病棟総回診、月曜午後からは入院カンファランス、水曜午後は病理組織検討会、木曜午後の総合カンファランスでは全ての症例についての検討会と抄読会を行います。

  • 外科学講座食道外科部門 / 胃・大腸外科部門 / 呼吸器外科部門 / 乳腺・内分泌外科部門

    研究について

    我々の診療部門は消化器・呼吸器・乳腺の腫瘍外科であり、豊富な摘出標本を用いた研究を主に行っています。これまでにがんの発生・浸潤・転移に関する研究を食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵癌、乳癌の組織や培養細胞を用いた実験結果を報告してきました。現在の抱える臨床上の問題点は高度進行癌や再発癌に対する治療や術後の機能低下です。集学的治療の向上をめざし、組織、細胞、遺伝子レベルでのがんの特性を、癌部のみならず宿主側からも解明し、それに対応する治療法の確立を目指しています。また臓器摘出による機能低下、QOLの低下の防止のため、生理・機能の変化や機能温存に必要な臨床解剖の研究・理解を様々な機器を用いて解析し、手術手技の改良に努めています。このような研究は外科のみでは進展しませんので、解剖、病理、免疫、生化学、消化器内科の各教室と連携をして研究しています。

    教育について

    現代は莫大な情報の蓄積や工学の進歩で、人工知能やロボット手術など高度な先端医療が行われています。また科学の発展が創薬、遺伝子治療や再生医療を可能としています。一方で開発、実践には莫大な費用がかかります。今後は経済的観点をもった研究・診療も必要で、二律背反する課題を解決する能力を持つ人材が求められると思います。さらに地方では高齢者社会がさらに進み先端医療に加え、地域医療、介護医療も大きな課題です。

    将来の医療を支える医師として、研究に必要な探究心と独創性のある発想を持ち、臨床医としての医学の知識、不可欠な診療の実力、患者に寄り添い病気と闘う倫理観を兼ね備えた人材育成を目標としています。またグローバルな視点を持つことは生涯のキャリアとして非常に貴重なもので、海外への留学を推奨しています。

    卒後診療教育は大学病院と関連施設で行いますが、特に大学では専門医を目指す人と関連病院に出ても基本的な手技や術前術後管理ができる医師の教育をしています。卒前教育においても、より実践的に熱意をもって指導を行っています。(詳しくは https://www.kurume-geka.com/intro/

  • 外科学講座心臓・血管外科部門 / 肝・胆・膵外科部門

    研究について

    当科では、心臓血管外科、肝胆膵外科を中心として研究に取り組んでいます。心臓血管外科では、人工弁置換術後の弁機能不全に関する研究や、胸部大動脈手術における脳脊髄保護に関して国内はもとより国際的な評価を受けています。また肝胆膵外科では、3D navigationによる肝内脈管系の解剖把握による肝切除成績の向上などや、肝硬変での大量肝切除に対する脾臓摘出の効果の検討などを行っています。

    教育について

    外科に必要な基礎的、病理学的知識はもとより、外科治療における適応、手術法、周術期管理などを学ぶことを目的とします。基本的には、座学よりも臨床現場での教育を重視し、クリニカル・クラークシップの際の実際の手術現場やベッドサイドでの教育を重視しています。

  • 外科学講座小児外科部門

    研究について

    臨床的な消化管機能の研究として、消化管運動を胃電図やfecoflowmetryにより数値化することで客観的に評価することを可能とし、術式や薬剤との関連についての検討を行っています。昨今は漢方治療のEBM確立にも力を注いでいます。また、外科代謝栄養、臨床栄養学は教室の得意分野の一つであり、特に周術期の病態と栄養について数々の研究を行い、病態別栄養剤の開発も行っています。現在は抗酸化物質による肝線維化抑制メカニズムの解明を行っています。

    教育について

    小児外科においても成人の消化器外科、呼吸器外科、循環器外科の経験と知識は必須であるので、小児外科の教育はもちろんのこと、成人一般外科の研修も十分に行います。活動範囲は外科学のみならず小児救急医療・周産期新生児医療・東洋(漢方)医学・代謝栄養学(NST:Nutrition Support Team)と多岐にわたり、トータルケアーのできる人材を育成します。また患者さんや医療スタッフとの人間関係等、医師としての人間的心構えを身につけることを大切にしています。

  • 脳神経外科学講座

    研究について

    脳血管障害:脳血管内治療の開発、脳循環代謝モニタリング

    • 悪性脳腫瘍:分子生物学的治療、機能温存手術の開発
    • 頭部外傷:脳低温療法の開発と応用、循環代謝モニタリング、高次脳機能障害
    • 神経内視鏡:水頭症、嚢胞性疾患、脳室内病変、下垂体や頭蓋底手術への応用
    • 脊椎脊髄:低侵襲手術、インスツルメンテーションおよびモニタリングの開発、末梢神経再建
    • 機能的脳神経外科:痙性麻痺の治療、難治性疼痛の脊髄刺激、磁気刺激療法不随意運動などの脳深部刺激療法

    教育について

    初期研修終了後は大学病院脳神経外科病棟研修(基本1年間)にて指導医のもと脳神経外科主要疾患の診察および手術前後管理について学びます。また穿頭手術や開頭術を経験します。医師4-5年目は関連施設脳神経外科・高度救命センター脳神経外科にて集中治療や脳卒中・頭部外傷などのプライマリー疾患について指導医のもと経験を積みます。この間脳腫瘍摘出術やネッククリッピング術などの助手を経験します。医師6年目は脳神経外科病棟にて主治医となり、脳神経外科専門医試験にむけて手術および臨床を経験学習します。医師7年目は脳神経外科専門医取得学年となります。専門医取得後は脳神経外科全般の臨床経験を積みつつ、希望により国内外への留学を含めサブスペシャリティー分野の選択することも可能です。

  • 整形外科学講座

    研究について

    整形外科とは身体の姿勢および運動器官に関する臨床医学であるということができ、その研究内容は基礎的解剖学から病気、外傷の病態の解明、治療の開発など多岐にわたっています。高齢者社会を迎えようとしている現在、いつまでも元気に動けるということは自分らしさを維持するためにもとても大切です。そのためにも整形外科は今後さらに必要とされることでしょう。

    教育について

    伝統的に開業医の子弟が多く、そのため臨床の診療能力を徹底して叩き込む流れができています。また私立大学特有のぎすぎすしない雰囲気の中で先輩が後輩をかわいがる上下関係が引き継がれています。そのため先輩は自分が得た知識・手技を惜しみなくマンツーマンで教えこんでいきます。また先端の技術を学ぶため興味を持った分野を持つ若い医師には幕末の志士たちが海外を目指したように国内・海外の医療施設を問わず勉強にいけるバックグランド出来上がっています。

  • 眼科学講座

    研究について

    眼科学の進歩は限りないものがあります。眼内レンズは最も成功した人工臓器であり、硝子体手術は最新の神経外科です。角膜移植はもう30年以上前から行われています。眼科学は、神経科学、再生医療、移植医療、遺伝子医療、医療工学のすべてを含みます。教室の目的はこれらを駆使して視機能を回復させる21世紀の眼科医を育てるのが使命と考えています。教室では、主に高齢化社会でますます増加する緑内障、網膜疾患、ぶどう膜炎、眼球表面 の再建と角膜移植の治療・研究に重点をおいています。

    教育について

    眼科医は、視覚という人間のもっとも高等な機能を扱う専門家です。修得するには一般の医学知識の上にさらなる勉強と修練が必要です。眼科は外科系ですので、優秀な術者を育てるのが必要と考えています。ただの手術ロボットを作るのではなく、頭は研究心を持ち、こころは温かい術者を育てたいと思います。しかし、眼科は実はsurgicalな部分だけでなくmedicalな部分が半分あり、それらの専門家となることも重要です。必ずしも全員が術者になる必要はありません。

  • 産婦人科学講座

    研究について

    講座は臨床的分野で研究分野も分けています。すなわち周産期研究、婦人科腫瘍研究、不妊内分泌研究の3研究分野です。これらの研究は産婦人科専門医の資格をとってから行うことになります。ここで行われる研究はそれぞれの分野の専門医(Subspecialty)の資格をとるために不可欠の研究となります。

    現在の研究テーマ
    • 周産期研究室:妊娠糖尿病の病態解明に関する臨床研究、妊娠高血圧症の病態解明に関する基礎研究、早産治療に関する臨床研究等
    • 婦人科腫瘍研究室:各種婦人科癌の悪性度と関連する分子の発現に関する研究、臨床病理学的研究、子宮頸癌とHPVワクチンに関する臨床研究、新たな治療法の開発を目指した多施設共同研究
    • 不妊内分泌研究室:ART(assisted reproductive technology)に関する研究、更年期の病態解明に関する研究
    • 以上の研究テーマを臨床大学院においてまた臨床の傍ら研究できる体制をとっています。

    教育について

    当講座においては卒前教育における講義は周産期、婦人科腫瘍、不妊内分泌とそれぞれの専門分野の教員により行っています。臨床実習は病棟では受け持ち患者について回診、カンファレンスでのプレゼンテーションを行っています。また地域産婦人科医療に接するように教育関連病院や開業医のもとでの実習も取り入れています。教育連絡主任がほぼ終日学生について効果的な実習が行えるように指導しています。初期臨床研修に関しては屋根瓦方式をとっており初期臨床研修医は後期臨床研修医を中心とした主治医の副主治医として研修を行います。到達目標は産婦人科診察法、正常分娩の介助、帝王切開の助手、婦人科救急疾患への対処などとしています。

  • 泌尿器科学講座

    研究について

    現在泌尿器科学講座においては、臨床研究としてホルモン不応性前立腺癌や抗癌剤抵抗性悪性尿路上皮腫瘍に対する免疫療法(テーラーメイド型ペプチドワクチン療法)の臨床試験研究を行っており新薬としての申請を目指しています。また、基礎研究部門でも、尿路結石において、遺伝子レベルでの発生メカニズム解明や再発予防のため、分子生物学的手法を用いた研究を実験動物モデルに対して行っています。

    教育について

    4年間の研修終了後に日本泌尿器科学会専門医の資格が得られるように研鑚していただきます。日本泌尿器科学会の専門医養成のためのマニュアルに沿った研修ということになります。研修実施施設は、久留米大学附属病院を拠点とし、それに複数の参加施設を加えて行います。さらに学位(医学博士)の取得(大学院、論文博士)、サブスペシャリティ(ライフワークとなる分野)の確立、後輩医師の育成を行う指導医を目指します。

  • 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

    研究について

    当講座では、頭頸部領域の研究として腫瘍免疫や腫瘍病理といった腫瘍に関する基礎研究や、喉頭の免疫組織学的研究を、聴覚・平衡領域では真珠種などの難治性の中耳疾患に関する免疫組織学的研究や平衡機能に関する基礎研究を、音声・嚥下領域では音声の解析や喉頭・咽頭における電気生理学的研究を、いびき・無呼吸領域では、上気道の形態学に基づいた研究を行っています。また、西日本随一の症例数を生かし、これらの研究結果に基づいた臨床的研究も盛んに行っています。

    教育について

    入局後2年間はまず臨床力をつけるために、大学病院と関連病院を約半年から1年間のローテーションで回ります。この間に病棟・外来診療の基礎を身につけ、レベルにあわせて指導医のもとで積極的に自ら執刀できる手術は執刀してもらうようにしています。耳鼻咽喉科疾患は多岐の器官にわたる為、指導医は固定せず症例により変わります。このため幅広い指導が可能です。3年目からは希望者は大学院に進むことができます。その後、5年目に耳鼻咽喉科専門医認定試験を受験します。

  • 麻酔学講座

    研究について

    心肺蘇生後脳症や周術期脳虚血など、虚血性神経細胞傷害の問題をメインテーマとしています。その病態解明や全く新しい治療法の開発に繋がる可能性を秘めた蛋白質導入法、海馬スライスの長期増強現象を指標としての水素分子の抗酸化作用、ポストコンディショニングの研究を進めています。他には、肺血管内皮障害と術後肺血栓塞栓症、カンナビノイドによる細胞傷害に対するプロポフォールの保護作用などの研究を行っています。

    教育について

    麻酔科学の講義や実習を通して、社会へ貢献できる医師を育てることを目標としています。クリニカルクラークシップの学生にはテーマを与え、できるだけ自主的な学習を促し、初期臨床研修医には1〜3か月の研修期間に気道確保など、最低限の手技が身に付くよう指導しています。また、救急救命士の気管挿管実習に協力しています。

  • 形成外科・顎顔面外科学講座

    研究について

    当講座では、臨床応用を前提とした以下のような臨床研究をおこなっています。

    • 微小血管造影による主要な皮弁・筋皮弁の三次元的血行形態の解明、皮弁生着における新しい血行理論の構築。
    • ラットの軟骨を用いた軟骨の生着機序の解明、軟骨の形態矯正に関する組織学的検討。
    • 骨髄幹細胞を用いた骨再生の研究と臨床応用。
    • 脂肪幹細胞を用いた生体脂肪移植の研究と臨床応用。
    • 難治性潰瘍における持続洗浄時の肉芽組織内の菌体数の経時的変化の解析,持続的陰圧が肉芽組織の増生と創傷治癒に及ぼす効果の検討。
    • 母斑細胞母斑及び色素斑に対するルビーレーザー照射における組織学的検討。
    • リンパ管静脈吻合における治療効果の客観的評価法の開発と検討。

    教育について

    当講座の教育達成目標は、創傷治癒の基本原則を理解することです。学生に対しては、講義と実習を通して以下の項目について教育しています。1.縫合法、植皮術、組織移植の理論と実際。2.難治性潰瘍(特に褥瘡)の治療の基本的考え方と実際。3.外傷(熱傷、顔面外傷、四肢の外傷など)の種類別、部位別の治療原則の理解と実際。4.再建外科学の理論と実際。臨床研修医に対しては、以上の項目のさらなる習熟と外傷のプライマリーケアーを正しく行える事を目標に教育しています。また、学生、医師の別を問わず希望者には、ラットを用いた顕微鏡下の微小血管吻合の実習を行っています。

  • 救急医学講座

    研究について

    当教室では、日常の救急医療の中から生じた疑問や問題点をどうすれば解決できるか、どうすればより良い救急医療を実践できるかを中心に研究しています。その中の主なテーマとしては、重症急性膵炎や敗血症をはじめとする重症感染症や外傷患者の病態生理と治療に関する研究などがあります。それともう一つ、近年のわが国における救急医療体制のトピックスとしては、ドクターヘリによる病院前救急医療があります。これについては今後大いに発展していく研究分野と考えて力を入れているところです。

    教育について

    教育に関する基本的な方針は、頭から足先までの全身が診れる立派な臨床医・救急医を育成することです。久留米大学病院高度救命救急センターで十分な救急医としての臨床能力を修得します。最低限の目標は、どのような場面でもまず1人で初期診療が行えるようになることです。そして、救急医がフライトドクターとして病院前救急診療に従事できるようになることと3年後には救急専門医が取得できるまでに育成することが我々に課せられた任務と思っています。

  • 感染制御学講座

    研究について

    当教室は久留米大学病院において海外旅行外来、感染症外来および感染制御部を担当しており、マラリアやデング熱などの輸入感染症を含めた感染症診断や院内感染対策に関する研究を行っています。また国内外の施設との共同研究も積極的に行っており、インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、C型肝炎ウイルスなどのウイルスに関する研究や呼吸器病原細菌が産生するバイオフィルムの研究などを実施しています。

    教育について

    当教室はWHO (世界保健機関)のGlobal outbreak alert and response networkに登録しており、今後世界的に脅威となる新たな感染症の発生が起こった際には、WHOとも連携することにより国際貢献となる仕事も行っていく予定です。前述の様な海外との国々との共同研究を含めた幅広い感染症の研究・臨床を行い、かつその成果をもとにした時流にあった感染症教育を行うことにより、国際的な視野を持ち、国内外で活躍できる人材を育てていきたいと願っています。

  • 歯科口腔医療センター

    研究について

    われわれは以前より、口腔粘膜疾患および悪性腫瘍をはじめとする顎口腔腫瘍の早期診断と低侵襲性治療、生物学的悪性度評価に関する研究に取り組んできました。さらに口腔の組織と機能の包括的再生に取り組んでおり、インプラントや外科的矯正手術とともに組織工学を用いた顎骨再生に取り組んでいます。また、最近問題となっているシェーグレン症候群をはじめとするドライマウス治療、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療装置の開発、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死についても臨床的研究を進めています。

    教育について

    医学部医学科における学生教育においては、コアカリキュラム講義、医学入門実習、選択制セミナー、クリニカルクラークシップを担当しています。いずれも口腔の疾患と機能について理解することを目標としています。大学院においては包括的顎口腔機能再生学を担当。口腔インプラント、顎変形症の診療、口腔組織の再生など臨床に即した内容であるとともに、先進医療の研究者育成や、卒後の専門医取得などに役立つ教育を行っています。