大学院 医学研究科教育・研究の推進
事業や学内プロジェクトのご紹介
~ 目次 ~
本学大学院医学研究科修士課程及び博士課程に開設している専攻系の教育を基盤として、さまざまな教育・研究を実施していますが、これらの教育は、大変ユニークかつ独創的な教育・研究であるとして高い評価を得ています。中には、社会に還元できるよう国の外部資金を獲得して実施しているものもあり、これらの教育・研究が如何に高い評価を得ているものであるかご理解いただけると存じます。
このページでは、本学大学院医学研究科において現在進行している様々な事業や、学内プロジェクトについてご紹介します。
文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」 (平成33年度まで)
平成19年に制定された「がん対策基本法」で求められているがん専門医療人養成のための教育拠点を構築することを目的とした「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」に九州・沖縄地区12大学連携プロジェクトとして採択されました。(採択期間は5年間)本学においても高度ながん医療、がん研究を実践できる優れたがん専門医療人を養成し、がん医療の向上に寄与したいと考えています。
(1)個別最適医療系先端癌治療学「悪性腫瘍専門医養成ユニット」の設置
がん治療研究の拠点形成を目指すべく個別最適医療系先端癌治療学を開設し、「癌集学的治療」について教授していましたが、近年のがんによる死亡者が全体の31.1%を占めるに至り、社会的にも癌専門医が熱望されるようになってきました。このような背景から、本学においても最新の基礎腫瘍学と臨床腫瘍学の両面を専門的に学習して新たな研究を推進することで医学博士としての学位を取得すると共に、臨床実習において固形腫瘍と造血器腫瘍のチーム医療に直接携わり習熟することでがん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会専門医)の受験資格を取得する悪性腫瘍専門医養成コースを平成19年度より開設しました。平成20年度からは放射線腫瘍認定医を養成する放射線療法専門医養成コースを、さらに平成21年度からは緩和医療専門医を養成する緩和医療専門医養成コースを新たに立ち上げ、いずれかを選択できる「悪性腫瘍専門医養成ユニット」としてスタートしています。
(2)修士課程臨床看護学群がん看護論「がん看護専門看護師教育課程」の設置
専門看護師(CNS)は、日本看護協会が設けている認定制度ですが、本修士課程では、それまでの「特別科目がん看護」をより充実し、日本看護系大学協議会 専門看護師教育課程基準に沿うカリキュラムに再編成した、臨床看護学群がん看護論「がん看護専門看護師教育課程」を平成20年4月より開設しています。この課程は平成20年7月に同協議会へ専門看護師教育課程としての認可申請を行い、平成21年1月付で認定を受けています。
※専門看護師になるためには、認定された教育機関の課程を修了後、実務研修を6ヶ月以上受講した上で、日本看護協会で年1回実施する専門看護師認定審査に受験し、合格する必要があります。これらの試験に合格し登録申請をした方は専門看護師として認定されることとなっております。
(3)インテンシブコースの設置
大学院教育の実質化を目指すなかで科目等履修生制度を見直すとともに、活性化する方向性が文部科学省等から答申されたこと、さらには本研究科が平成19年度に採択された文部科学省大学改革推進事業「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」においても、科目等履修生制度を活用した「インテンシブコース」の設置が人材育成の柱として打ち出されたことをうけ、当該制度を利用した人材育成を平成20年度より実施することとなりました。この科目等履修生については、従来の制度では学納金が高額であるために希望者の進学促進につながらないと考え、一部の対象者(修士課程・博士課程等の修了者および学位取得者など)については学納金を一部もしくは全額減免したいと考えております。
コースは博士課程に悪性腫瘍専門医を養成するための3つのコース(がん化学療法・薬物療法専門医養成コース、放射線療法専門医養成コース、緩和医療専門医養成コース)と修士課程の1コース(臨床看護学群がん看護論「がん看護専門看護師教育課程」)のそれぞれの開講科目を受講することができます(年間10単位程度)。このコースを修了した後には、がん専門医(薬物療法専門医・放射線療法専門医・緩和医療専門医)やがん看護専門看護師を大幅に増員させることにつながり、本学大学病院や地域がん医療における人材確保に寄与できればと考えています。
(4)がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの関係情報
「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」に関する情報は、文部科学省ホームページなどで確認することができます。ご参照下さい。
文部科学省「未来医療研究人材拠点形成事業」
世界の医療水準の向上及び日本の医療産業の活性化に多大に貢献するため、世界の最先端医療の研究・開発等をリードし、将来的にその成果を国内外に普及できる実行力を備えた人材(イノベーションを推進できる人材)を養成することを目的とした「未来医療研究人材拠点形成事業」として福岡県内4大学(九州大学・産業医科大学・福岡大学・久留米大学)連携事業が採択されました。これに伴い、平成26年4月にメディカルイノベーションに強い志しを有し、推進し、国際競争に勝ち抜く人材の養成を目的とした「メディカルイノベーションコース」を開設しています。
文部科学省「大学間連携共同教育推進事業」
社会人を対象とした医学研究科修士課程において、医療に変革をもたらす医療サービスイノベーションを主導する人材育成プログラムを創成することを目的に、宮崎大学医学部の医療情報学に関する教育研究の実績を駆動力・求心力として、久留米大学大学院医学研究科のバイオ統計学、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科の医療サービスサイエンスの実績を統合し、九州地域の医療情報ステークホルダーの支援のもとで、医療サービスイノベーションを主導する人材育成プログラムとして「医療サービスイノベーション論」、「医療サービス統計論」、「医療サービス知識創造論」を開講しています。
文部科学省「組織的な大学院教育改革推進プログラム」
本学大学院医学研究科修士課程の「感染制御看護師(infection control nurce,ICN)養成プログラム」が、平成21年度文部科学省「組織的な大学院教育改革推進プログラム」に採択されました。本プログラムは、世界的流行に備えた国内外での感染防止支援、災害時の衛生環境悪化下における感染管理支援、発展途上国における感染看護支援、国内における広域感染管理・院内感染管理支援などの場面で活躍できる感染制御看護師(ICN)の教育・養成を目的としています。本取組みは多様なバックグラウンドをもつ社会人を対象としており、個人の教育課程やキャリアに応じて専門的知識・技術を修得できるようにカリキュラムを編成し、加えて国内外でまさに必要とされている国際的感染症に対応できる実践能力の養成を要諦としています。具体的には、修了後の進路を想定し、アドバンスド・プログラムとプロフェッショナル・プログラムの2コースにおいて国際的に活躍できるICNと国内で専門的ライセンスを獲得し活動する専門看護師(certified nursing specialist,CNS)を養成することとしています。特に国際実践フィールドワークでは、WHO GOARN(Global Outbreak Alert and Response Network)の講習会および会議への参加や他国との共同研究の実践を科目として採り入れるため、国際的貢献・活躍を希望するコ・メディカルにとっては大いに魅力あるプログラムとなっています。
「感染制御看護師(ICN)養成プログラム」ホームページ
文部科学省「私立大学学術研究高度化推進事業」
(1)オープン・リサーチ・センター整備事業
- 高次脳疾患研究所
- 分子生命科学研究所(平成20年度終了)
- 皮膚科学講座(平成20年度終了)
文部科学省では、多様な人材を受け入れ、研究と、若手研究者や高度専門職業人などの人材養成とを併せて行ったり、研究成果等の幅広い公開を行うなど、オープンな体制の下でプロジェクトを推進する研究組織を「オープン・リサーチ・センター」として選定し、重点的かつ総合的支援を行っています。本学では、3つの研究機関がその拠点の認可を受けています。
【特に関連ある専攻系】
高次脳疾患研究所
博士課程 個別最適医療系 高次脳疾患学 修士課程 医科学専攻 基礎医学群 精神生理・高次脳機能学
分子生命科学研究所
博士課程 生理系 分子生命科学 修士課程 医科学専攻 分子生命科学群
皮膚科学講座
博士課程 個別最適医療系 先進医療対象疾患学
(2)ハイテク・リサーチ・センター整備事業
先端癌治療研究センター
文部科学省では、最先端の研究開発プロジェクト(萌芽的な研究を含む)を行う研究組織を「ハイテク・リサーチ・センター」に選定し、総合的かつ重点的に支援を行っています。本学では、「先端がん治療研究センター」が拠点指定されています。
【特に関連ある専攻系】
先端癌治療研究センター:博士課程 個別最適医療系 先端癌治療学
(3)学術フロンティア推進事業
循環器病研究所(平成19年度終了)
文部科学省では、優れた研究実績をあげ、将来の研究発展が期待される卓越した研究組織を「学術フロンティア推進拠点」に選定し、総合的かつ重点的に支援を行い、本学では、これまでの高い研究実績が認められ、「循環器病研究所」がその拠点に認められました。
【特に関連ある専攻系】
循環器病研究所:博士課程 個別最適医療系 心血管先端医療学
(4)社会連携研究推進事業
内科学(心臓・血管内科部門)(平成20年度終了)
文部科学省では、地域企業等との有機的な連携の下で、地域社会の活性化に結びつく研究成果を生み出すため、共同研究を行う研究組織を「社会連携研究推進拠点」に選定し、総合的かつ重点的に支援を行い、本学では、内科学(心臓・血管内科部門)講座が指定されました。
【特に関連ある専攻系】
内科学(心臓・血管内科部門):博士課程 個別最適医療系 心血管先端医療学
文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」
文部科学省では、私立大学が最先端の研究や地域に根差した研究など、各大学の経営戦略に基づいて行う研究基盤の形成に対し支援を行っています。本学では3つの研究機関がその拠点として認められています。
【特に関連ある専攻系】
生理系
「解剖学顕微解剖・生体形成分野」(解剖学講座 顕微解剖生体形成部門)
社会医学系
「公衆衛生学」(公衆衛生学講座)
個別最適医療系
「先端癌治療学」(先端癌治療研究センター(肝癌部門),(がんワクチン分子部門),(臨床研究部門),(分子標的部門))
「皮膚細胞生物学」(皮膚細胞生物学研究所)
文部科学省科学技術振興調整費委託事業
新興人材養成分野
※平成19年度末で事業終了しましたが、バイオ統計分野の教育研究は継続しております。
(1)コースの概要
わが国における医学研究および医薬品開発研究などにおいて、バイオ統計学研究者の量的および質的不足は、学術研究のみならず広く産業界における国際競争力の不足に連なるきわめて重要な戦略的課題として、近年認識されています。このような現状に鑑み、本学では、大学院医学研究科修士課程医科学専攻の中に平成16年4月より「バイオ統計学群」を、同博士課程社会医学系専攻の中に平成17年4月より「バイオ統計学群」を設け、国際的標準と見なされている米国に準じるバイオ統計研究体制の確立を図り、もって有能な人材の育成に資することを目的としています。
本学のバイオ統計学分野は、これまで「医用統計学」「生物統計学」などという範囲を限定したものではなく、広範囲に適応できるよう「バイオ統計学」と定義し、臨床試験などに従事する統計スペシャリスト(バイオスタティスティシャン)の養成を目指しています。
(2)関連情報
本学大学院医学研究科バイオ統計学分野の教育・研究を更に詳しくご紹介するために、独自にホームページを開設しています。是非ご覧ください。また、このコースワークの基礎的資金をご提供いただいている文部科学省及び独立行政法人 科学技術振興機構のホームページをご紹介します。
文部科学省21世紀COEプログラム
(1)プログラムの概要
【目 的】
世界最高水準の「先端的癌治療研究」を実施し、新規の癌治療薬や治療法を開発し癌征圧をもって地域と世界に貢献しています。
【必要性】
癌は我が国の国民死亡原因の第一位を占め、年間約30万人が癌により死亡するとともに年間約50万人が罹患しており、国民の最も関心の高い疾患です。従って、先端癌治療研究の世界的拠点形成はポストゲノム時代の社会的かつ経済的要請であり、また国民の健康と生命を守るための先端的医療を創造することは医系大学の社会に対する努めであるといえます。さらに、同拠点形成は地域の発展と我が国の科学技術立国としての再活性化を図る為に必要であると考えています。具体的には以下の3プロジェクトの世界的研究拠点を形成しています。
- テーラーメイド癌ペプチドワクチン研究
- 肝癌予防/肝癌治療研究
- 癌の分子標的治療研究
【特 色】
個々人に最適な医学・医療(テーラーメイド医療/高いQOL/低い医療費)開発を癌治療学分野で目指しています。
【特に関連ある専攻系】
- 博士課程個別最適医療系専攻先端がん治療学
- 病理系専攻病理学・免疫学
- 社会医学系専攻バイオ統計学
(2)「臨床研究主任研究者養成ユニット」の設置
現在多くの臨床試験が大学病院で実施されておりますが、臨床試験に関して知識の乏しい医師や看護師がこれらの臨床試験に従事しているのが現状のようです。そこで、本学では米国NIHのPrinciple Investigator 研修システムに準じ、「新薬、創薬、薬理学、臨床薬理学、毒性学、規制/倫理、臨床開発、生物統計学、医療経済学、関連法規、マーケティング、Pharmocovigillance、知的所有権の取得と応用」までを、国内外一流の講師を招聘し、講義を開講しています。
(3)リサーチナース(CRC)養成ユニットの設置
現在多くの臨床試験が大学病院で実施されておりますが、臨床試験に関して知識の乏しい医師や看護師がこれらの臨床試験に従事しているのが現状のようです。そこで、本学では 「リサーチナース(CRC)養成ユニット」を設置し、リサーチナースとしての実践指導を行い、高レベルのリサーチナースの育成を図っています。