大学院 医学研究科医系倫理関係情報

医系倫理関係情報

このページでは、久留米大学大学院医学研究科学生が研究を遂行する上で最低限の知識として身につけていただきたい医系倫理の基礎知識についてご紹介します。併せて、関係する委員会のご紹介をしますので、研究遂行に際し、指導教授とよく相談の上、必要な諸手続きを進めてください。

研究実施に関連する委員会
-研究をはじめるまえに-

倫理委員会

医学の研究、医療技術の開発のために「人」を対象とする研究を行う場合、被験者の個人の尊厳及び人権が守られなければなりません。「人」を対象とする研究を行う場合は、必ず事前に倫理委員会の承認を得て下さい。
久留米大学倫理委員会

遺伝子組み換え実験安全委員会

委員会では学長の諮問に応じ、遺伝子組換え生物等による生物多様性への影響を防止するため、法、法に基づく政省令及び告示並びに本学安全規程・実験指針に基づき、遵守しなければならない安全確保に関する基本事項等を調査・審議します。
組み換え実験、遺伝子組み換え生物を使用する実験を行う場合は、必ず事前に学長へ届け出または承認を得て下さい。
久留米大学遺伝子組換え実験安全委員会

研究用病原体等安全管理委員会

委員会では学長の諮問に応じ、研究用病原体等の保管及び取り扱いを安全におこなうために、「感染症の予防及び感染症の患者に関する法律」いわゆる感染症法、法に基づく政省令及び告示並びに本学研究用病原体等安全管理規程・指定実験室安全操作指針(http://inwww.med.kurume-u.ac.jp/in_psmc/)などに基づき、遵守しなければならない安全確保に関する基本事項等を調査・審議します。なお指定実験室の使用に関しては指定実験室運営委員会があります。
研究用に病原体等(P2以上)を使用する実験を行う場合は、事前に、学長への届出または承認が必要です。

動物実験倫理に関する情報提供

1. 動物実験推進のための基礎知識

  実験動物の使用にあたっては、応用生物学的な観点から動物実験の成績をヒトに外挿する場合の考え方、同時に動物福祉の立場から動物実験の倫理、生命倫理を充分に配慮し、動物実験を遂行するために必要な動物実験に関する倫理などを留意する必要があります。

2. 動物実験に関する手続きの概略

  1. 動物実験計画書作成(動物実験立案)
  2. 動物実験計画書を動物実験センターへ提出
  3. 久留米大学動物実験委員会(以下動物実験委員会)にて動物実験計画書の審査
  4. 動物実験委員会から実験者へ承認通知
  5.  動物実験開始(ただし、動物実験センターを初めて利用する際には、事前に動物実験センター利用講習会を受講する)

3. 動物実験倫理に関する委員会のはたらき

(動物実験で必要な審議)

久留米大学における動物実験の適切かつ円滑な運営を図るため、久留米大学動物実験委員会が設置されており、当該委員会における動物実験計画書の審議に関しては主に次に掲げる内容が審議されます。

  1. 動物実験に伴う使用動物の苦痛やストレスの程度
  2. 動物実験にて使用する動物数が適正かどうか
  3. できる限り動物を供する方法に代わり得るものが存在するのか など
    以上の点にて不適切な動物実験の場合は、動物実験計画書の内容変更を求め、不要な動物実験や動物を極端に苦しめる実験などの中止勧告をします。

4. 当該委員会の関連リンク情報  

動物実験等の基本指針資料

5. 最新のトピックス、その他必要な情報提供

  平成17 年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律」の一部を改正する法律が公布され、動物実験等に関する理念であるいわゆる3RのRefinement(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう)、Replacement(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう)及びReduction(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすることをいう)に関する規定が盛り込まれました。このような動物実験等を取り巻く環境の変化を受け、研究機関等においては、科学上の必要性のみならず、動物の愛護及び管理に関する法律及び実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の規定も踏まえ、科学的観点と動物の愛護の観点から、動物実験等を適正に実施することがより重要であります。このような現状を踏まえ、本学における動物実験等の適正な実施に資するため、現在「動物実験規程」を策定中です。

治験に関する情報提供

久留米大学臨床試験センターは、平成14年7月、治験業務を総括的に当する組織として病院長直轄下に新設され、治験事務局及びIRB事務局として機能しています。治験以外の臨床試験は、久留米大学医学部研究推進課が窓口となり倫理委員会の担当事務局として対応しており、学内で臨床試験を実施する際には、IRBあるいは倫理委員会に試験計画書等の書類を提出し、承認を受ける必要があります。医薬品は多くのデーター(有効性・安全性)の蓄積の下、厚生労働省の承認が必要とされ、新薬承認を得ることを目的として製薬会社が行う、人を対象とした臨床試験のことを特に『治験』と呼んでいます。非臨床試験(動物実験)→1相(安全性の確認薬物動態試験)→2相(探索的試験)→3相(検証的試験)の臨床試験を経て承認・発売に至る確率は実に1/10000。その間、10年から20年近い年月と300億から800億もの費用が掛かると云われています。その後、第4相の製造販売後臨床試験が行われ、再審査が繰り返されて社会に評価されていきます。治験は、国が定めたGCP(Good Clinical Practice:『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令』という法律で、治験を進めていく上での基本ルール)を遵守して実施しなければなりません。GCP違反は、時には治験中止の取扱いとなり、実施体制が問われ病院機能評価に大きく影響してきます。久留米大学では、治験の質を保つ上で「臨床試験登録医認定制度」を設け、当センターが主催する「臨床試験セミナー」をはじめとした、治験に関するセミナーを受講され認定医を取得した医師により治験を担当して頂いております。治験は医療の質を高めていく上で欠かせない重要な課程です。良質な医療を提供していくには、医療従事者が同じ認識に立ち、連携を取って医療を進める必要があります。久留米大学として質の高いデーターを提供していく上でも、協力体制のもと全体で治験を推進していく必要があることを是非ご理解いただきたいと思います。
久留米大学臨床試験センター