国際交流に関する基本理念と指針

1.国際交流の基本理念

久留米大学は、国際的視野を持つ実践的人材を育成し、東アジアを中心に積極的な交流を推進するとともに、地域の国際化を先導する役割を担っていくことを国際交流における基本理念とする。

2.国際交流に関する基本方針

国際交流に関する基本方針は、上記1の理念を着実に具現化すべく、以下の通りとする。

  1. 国際交流の積極的推進
  2. 東アジア(*)を中心とした交流の推進
  3. 国際的視野を持つ実践的人材の育成
  4. 地域国際化の先導

(1) 国際交流の積極的推進

具体的には、下記(2)以下の通りであるが、全般的には次の通りとする。

  1. 留学生別科を含む外国人留学生数、質、受け入れ体制についての全学的検討
    グローバル化が一層進展している今日において、国際的視野を持つ学生の育成と 優秀な留学生の積極的な受入れ等、キャンパスの国際化は久留米大学にとっても必至のこととなっている。18歳人口の減少と少子化問題が深刻化する中で、優秀な留学生の獲得競争が始まっている。このような現状と久留米大学の実情を踏まえ、留学生30万人計画を念頭に置きつつ、優秀な留学生の獲得に向けて、留学生別科を含む外国人留学生の数、質、および受け入れ体制の整備について全学的に検討していく。その際これまで偏っていた留学生の出身国の数の増大についても検討課題とする。
  2. 本学日本人学生の海外留学・語学等研修の機会と種類の数の増大
    国際的視野を持つ学生の育成において、海外留学経験はたとえそれが短期であろうと、極めて大きな役割を果たす。これまで欧米豪及び東アジアの国・地域の教育機関と協定を結び、長期14校、短期11校(プログラム)への留学・語学等研修の機会を日本人学生に提供してきたが、この数と研修地を増加させることを検討していく。 また、留学希望者に対する財政的・教育的支援を強化する努力を行う。
  3. 学術交流協定校の増大と国の多様化
    現在、久留米大学は、30の海外教育機関と学術協定を結んでいる。上記1)と2)の目的に資するため、国・地域を多様化することを検討する。なお、学生の教育のみならず、教員の研究機関との交流も増やすべきである。このことにより、本学の研究が拡充するのみならず、留学生の増大にも資することとなる。
  4. 外国人留学生への日本語による教育と日本人学生の英語等外国語能力の強化
    本学の教育はほぼ全て日本語によって行われている。また、これを補うため留学生別科を設置して日本語能力を高め本学学部・大学院での学習能力を身につけさせている。日本との架け橋になるような外国人留学生を増やす教育を行うために、留学生別科の機能を強化するとともに、本学内の日本語教育を強化する。また、日本人学生の外国人とのコミュニケーション能力の向上は日本及び 本学の国際化の上で必然的に求められることであるが、このため海外留学の機会と種類の数を増やすことに加え、本学内での国際交流教育も強化する。
  5. 「日本語教育学ならびに日本語教員養成の充実強化」
    本学の日本人学生を対象として(外国人留学生を含む)、別科から学部・大学院までの留学生教育と連動する形で、日本語教育学副専攻課程と大学院で日本語教育学を教育するコース(「英米文化・言語教育(英語・日本語)文化コース」)を設けていることは、九州地区でも稀なケースであり、特筆に値する。本学の国際交流を推進していく上でも、更に日本語教育学ならびに日本語教員養成の充実強化をはかり、国際舞台で活躍できる人材を養成することは急務である。また、将来的に海外実習先の確保や本学の日本語教育修了生による国際的ネットワーク構築を支援していく必要がある。

(2) 東アジア(*)を中心とした交流の推進

(*)最近では、「東アジア」は「東アジア・サミット」のように、東南アジアも含めて使われており、ここでは北はモンゴルから南はインドネシアまで、ユーラシア大陸 およびその周辺島嶼国のアジア諸国を指すこととする。

  1. 中国、韓国、台湾との交流強化
    本学は、これまでこれら3国・地域の11の教育機関との間で学術交流協定を結び、また、研究機関との間でも共同研究などの形で交流を進めてきた。これら協定校や研究機関との交流を更に強化する。また、最近減少傾向にあるこれら諸国地域からの留学生数増加のため、海外への入試情報の発信・提供及び別科・各学部・大学院の海外での入試実施を検討する。
  2. 上記3カ国・地域以外の東アジアの教育機関との交流強化
    上記3カ国・地域以外の東アジアにおける日本語教育熱は依然高いものがあり、日本政府もそれを後押しし、日本国際協力事業団は日本センターをベトナム(2箇所)、ラオス、カンボジア、モンゴルに設立し、これら諸国の日本語及び日本経済・文化の教育を支援している。また、国際交流基金もベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシアの首都に事務所を設置し、これら諸国の日本語教育を助けている。このように日本政府機関等が力を入れている東アジア諸国等の教育機関との交流を検討するとともに、既に交流の始まっているものは更に深化・拡大する。
  3.  欧米豪諸国の学術交流協定校等との交流深化
    これまで欧米豪諸国の学術交流協定校等との交流は、本学の国際交流の出発点ともなっており、本学学生の語学能力向上および国際的視野拡大にとって大きな役割を 果たしてきた。この交流は、本学の国際化を進める上での基礎をなしていると位置づけられ、今後とも維持・発展に努め、深化させるべきである。具体的には、日本語学科などを持つ欧米豪諸国の大学との交換協定校の開拓などを進める。なお、欧米豪諸国の学生等が日本語や日本文化を学ぶことを欲し、本学への留学の可能性を探る場合も少なくない。このような学生等が本学の教育について容易に情報を得られ、留学生別科を含む本学への留学が手続き的にも容易になるようにすべきである。

(3) 国際的視野を持つ実践的人材の育成

  1. 留学生との交流の促進ならびに海外留学の機会と種類の数の増大
    国際的視野を身につけるためには海外の生活及び人々との接触を増やすことが重要である。このため上記(1) 1)で言及した全学的検討では国際的視野を持つ実践的人材育成という観点も踏まえる。
  2. カリキュラム等の改革
    各部局の教育方針の中で改革が可能であれば、国際的視野を身につけさせ、実践的人材を育成していくという観点からカリキュラム等の改革を検討していく。

(4) 地域国際化の先導

  1. 御井町、久留米市、筑後川流域圏の市民との交流強化
    これまで、久留米大学御井学舎地元の御井町や御井小学校との交流は、地域もちつき大会への留学生の参加や様々な本学交流会への地元市民の参加などで進めてきた実績がある。また、久留米市各地や筑後川流域圏の名所訪問や地域ツアー・セミナー・イベント等を通して地元市民との交流も行ってきた。
    今後これらの交流を更に深化させる。
  2. 久留米大学研究・事業の世界に向けた発信と地域への周知
    久留米大学は、海外の研究・教育機関との共同研究などで成果を挙げてきている。また、独自の研究や地域産業との協力により世界に発信するに相応しい事業を行ってきている。これらにより、久留米大学は地域国際化を先導していると言えるが、世界への発信や地域への周知という観点からは不十分である。最近久留米大学ホームページ上に、筑後地域の特長である伝統工芸品の保存発展に向けて久留米大学が協力した「筑後優品」の項目を設定し、そのブランド化に務めてきているが、「筑後優品」のみならず世界と地域に発信できる研究・事業についてこのような努力を一層行っていく。

国際交流センター所長あいさつ

国際交流センター所長
池口 守

2002年1月に設置された久留米大学国際交流センターは、2025年で23周年を迎えました。

久留米大学は、国際的視野を持つ実践的人材を育成し、東アジアを中心に積極的な交流を推進するとともに、地域の国際化を先導する役割を担っていくことを国際交流における基本理念としています。

この基本理念に基づき、これまでに約250名の長期留学生、約1700名の語学研修生を海外に派遣してきました。また、現在は16カ国1地域の30を超える大学と協定関係を締結し、学生の相互派遣や教員の交流を後押ししています。

2024年度における本学の国際交流事業は、前年度に引き続き大きな進展をみることができました。以下、その概要をご報告いたします。

まず、大学間協定として、全南大学(韓国)及び湖南大学(韓国)とあらたに協定を締結しました。

留学については、2024年4月にオーストラリア(サザンクロス大学)へ1名、同9月から英語圏(セントラル・ランカシャー大学、ノーザン・ケンタッキー大学)に計3名、中国語圏(上海財経大学、吉林大学、南台科技大学、銘伝大学)に計4名、また、2025年3月に韓国(建陽大学、梨花女子大学、釜慶大学)に計7名、総計15名の学生を派遣しました。語学研修としては、カナダに5名、オーストリアに3名、フランスに2名、マレーシアに12名、フィリピンに5名、韓国に17名、総計44名の学生を派遣しました。なお、調査・研修等の目的で海外に渡航する学生を対象とする助成プログラム「海外研修スカラシップ」には、総計7名が採用されました。

学生同士の交流事業として、オンラインで日常的な交流を行う「TOMODACHI プロジェクト」が、カナダのアケイディア大学との間で実施されました。また、バイオ統計センターで研修中の長庚大学(台湾)の学生と本学学生との対面の交流会が7月に実施されました。更にアケイディア大学(カナダ)の学生を招いての短期研修、銘伝大学(台湾)の学生の短期研修を受け入れたほか、初めての試みとして、久留米市との姉妹都市であるモデスト市(アメリカ)との交流行事が実施されました。

地域交流として、留学生が日本人学生、地域の方々、教職員と交流する「国際交流懇親会」が12月に開催されたほか、留学生、地域の方々、御井小学校の児童等、約150名の参加による「ふれあい餅つき大会」が同じ12月に開催されました。

以上のように、2024年度の本学の国際交流事業は順調に進みました。ただその一方で、航空運賃の高騰や円安の問題から、学生の留学や語学研修に対するサポートが重要性を増しているという現状もございます。学内外の皆様には、引き続き、ご理解及びご支援の程、宜しくお願い申し上げます。

国際交流センター所長 池口 守

2025年4月

国際交流の歴史

久留米大学 国際交流の歴史

1997年 5月
7月
11月

中国・南開大学と学術交流協定締結
久留米大学御井学舎学生留学規程及び同外国人留学生規程制定
韓国・全州大学校と学術交流協定及び語学研修協定締結

1998年 4月
9月
9月

アメリカ・南オレゴン大学と学術交流協定・学生交換協定及び語学研修協定締結
第1回交換留学生派遣(アメリカ・南オレゴン大学)
イギリス・ニューキャッスル・アポンタイン大学と学術交流協定及び語学研修協定締結

1999年 2月
4月
6月
12月

イギリス・バススパ大学と学術交流協定及び学生交換協定締結
久留米大学留学生別科を設置
中国・吉林大学と学術交流協定締結
ドイツ・ヨハンネス・グーテンベルク大学と語学研修協定締結

2000年 4月
9月
12月

吉林大学と語学研修協定締結
第1回交換留学生受入れ(イギリス・バススパ大学)
中国・北京第二外国語学院と学術交流協定締結

2001年 2月
6月
6月
10月

フランス・マルブクロック大学と語学研修協定締結
イギリス・ニューキャッスル・アポンタイン大学と学生交換協定締結
台湾・南台科技大学と学術交流協定及び学生交換協定締結
イギリス・リバプール・ジョンモアズ大学と学術交流協定及び学生交換協定締結

2002年 1月

久留米大学国際交流センターを設置

2003年 10月

韓国・全州大学校と学生交換協定締結

2006年 2月

オーストラリア・モナシュ大学語学研修開始

2007年 12月

台湾・呉鳳技術学院と学術交流協定締結

2008年 8月

カナダ・ビクトリア大学語学研修開始

2009年 1月

韓国・建陽大学校と学術交流協定締結

2010年 2月
8月

台湾・南栄技術学院と学術交流協定締結
韓国・梨花女子大学校と学術交流協定・語学研修協定締結

2011年 4月
6月
7月

カナダ・アケイディア大学と学術交流協定締結・留学協定締結
タイ・チェンマイ大学と学術交流協定締結
イギリス・ポーツマス大学と学術交流協定・留学協定締結

2013年 1月
1月
2月
2月
3月

フィリピン大学ロスバニヨス校と学術交流協定締結
イギリス・セントラル・ランカシャー校と学生交換協定締結
台湾・呉鳳科技大学と学生交換協定締結
台湾・南栄技術学院と学生交換協定締結
インターナショナル・ハウス(通称K・ハウス)竣工

2014年 7月

台湾、銘伝大学と学術交流協定締結

2015年 6月
9月

ベトナム・ハノイ大学と学術交流協定締結
イタリア・ミラノ・ビコッカ大学と学術交流協定締結

2016年 11月

エジプト・カイロ大学と学術交流協定締結

2017年 12月

中国・浙江工業大学之江学院と学術交流協定締結

2018年 1月
3月
11月

アメリカ・ブラウン大学と学術交流協定締結
インドネシア・スブラス・マレット大学と学術交流協定締結
スリランカ・スリジャヤワルダナプラ大学と学術交流協定締結

2019年 3月
12月

マレーシア・サラワク大学と学術交流協定締結
インドネシア・グナダルマ大学と学術交流協定締結

2020年 3月

台湾・国立台北商業大学と学術交流協定締結

2021年 5月

中国・上海財経大学と学術交流協定・学生交換協定締結

2022年 9月

アメリカ・ノーザンケンタッキー大学と学術交流協定・学生交換協定締結

2023年 2月
7月
12月
12月

台湾・長庚大学と学術交流協定締結
韓国・釜慶大学と学術交流協定・学生交換協定締結
台湾・東呉大学と学術交流協定・学生交換協定締結
オーストラリア・サザンクロス大学と学術交流協定締結

2024年 1月
5月

マレーシア・トゥンクアブドゥルラーマン大学と学術交流協定締結
韓国・全南大学と学術交流協定・学生交換協定締結

2025年 2月

韓国・湖南大学と学術交流協定締結